【タイ】中銀が2会合ぶり利下げ、米関税など下押しリスク備え

【亜州ビジネス編集部】

タイ中央銀行は13日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25ポイント引き下げて1.50%に改める決定を全会一致で下した。利下げは4月以来2会合ぶりで、昨年10月以降では計4回、合計1.00ポイントの引き下げとなる。米国の通商政策や域内観光競争の激化などによる景気減速リスクを見据え、金融緩和姿勢を一段と強めた。

中銀は2025~26年の国内総生産(GDP)成長率について、前回会合で示した予想レンジ(2.0~2.3%)程度で着地するとの見通しを維持。ただ、米国の高関税措置が輸出依存度の高い構造的課題を悪化させ、競争力を低下させる懸念を指摘した。特に中小企業の脆弱性が高まり、雇用者や自営業者の収入減少が予想されるとして、景気底上げに向け追加利下げを決めたとしている。

25年上半期の国内経済については、電子製品の輸出や米国向けの前倒し出荷、製造業の生産拡大で予想を上回る成長となったが、下半期は米国関税の影響や短距離観光客減少により成長鈍化が見込まれると説明。民間消費は消費者信頼感や所得見通しの悪化で抑制される見通しだ。

物価上昇率については、好天による農産物供給増で生鮮食品価格が下落し、原油安でエネルギー価格も低下しており、インフレ率は低水準が続くと予測。ただし価格下落は全品目には及んでいないとした。

与信動向では、中小企業や低所得層向け融資の信用リスクが高まり、住宅ローンの不良債権も増加していると説明。全体の信用成長はマイナス圏が続き、金融機関は高リスク層への新規融資に慎重な姿勢を強めている。

バンコクポストによると、サカポップ総裁補佐は会見で、「現在の経済環境に適した、より協調的な金融政策を講じ、中小企業や低所得層の負担軽減を図る」と述べ、必要に応じて追加利下げを行う可能性を示唆した。次回会合は10月8日に開かれる予定で、政府貯蓄銀行(GSB)のウィタイ・ラタナコン頭取が新総裁に就任し、議長を務める。


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