【亜州ビジネス編集部】
シンガポール企業庁は7日、米政府が打ち出した相互関税で打撃を受けた企業を支援するため、新たな事業助成金「ビズアダプト(BizAdapt)」を開始した。輸出志向型の事業やサプライチェーン(供給網)再構築を後押しし、外需依存型経済の回復力を高める狙い。支援上限は1社当たり10万シンガポールドル(約1180万円)で、申請期間は2027年10月6日までの2年間とする。
企業が相互関税への対応として実施するサプライチェーン最適化や物流・在庫体制の再構築、市場多角化、法務・契約見直し、貿易コンプライアンス強化、自由貿易協定(FTA)活用などの経費を一定の割合で助成。中小企業では最大50%、大企業では最大30%とする。
支援対象は、シンガポールで登録・操業し、地場資本比率が30%以上の企業。海外市場で事業または輸出を行い、関税の影響を受けていることを示す必要がある。申請は政府のビジネス助成金ポータルを通じて受け付ける。
ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は、「相互関税の直接的・間接的な影響を受ける企業を支援しつつ、新たな商機を見極める契機にもなる」と述べた。ビズアダプトは、既存の企業開発助成金(EDG)や市場準備助成金(MRA)、企業金融スキーム(EFS)などを補完する位置付けで、政府は経済環境を踏まえ、制度統合や期限延長も検討する方針としている。





