【亜州ビジネス編集部】
米S&Pグローバルが1日発表した東南アジア諸国連合(ASEAN)の2025年11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月を0.3ポイント上回る53.0だった。22年9月以来、3年2カ月ぶりの高水準で、12年7月の調査開始後では3番目の高さとなる。タイやインドネシアで内需拡大に伴い生産が伸びた。
景気拡大と悪化の分かれ目である50を上回るのは5カ月連続。国別では7カ国のうちシンガポールを含む4カ国で指数が前月から上昇した。
タイ(56.8)は7カ月連続の上昇
23年5月以来の高水準を記録。新規輸出受注が落ち込んだものの、国内からの新規受注が拡大し、生産高の増加ペースが加速した。受注残が積み上がっており、S&Pは今後数カ月にわたって製造業の成長が続く可能性があると指摘している。
インドネシア(53.3)も新規輸出受注が減る一方、内需が伸びている。生産高が3カ月ぶりにプラス転換し、購買活動や雇用も活発化した。マレーシア(50.1)は24年5月以来、1年6カ月ぶりに50超の景気拡大圏に戻った。足元で新規受注が改善傾向にあり、生産高の落ち込みが緩和した。
一方、ベトナム(53.8)は前月を下回った。台風や洪水の発生で供給網の混乱や生産の遅れがみられ、新規受注と生産高の伸びが鈍化した。事業の遅れを取り戻すため企業が雇用を増やしており、今後数カ月は成長が続くとS&Pは見ている。
フィリピン(47.4)も指数を下げ、2カ月ぶりに景気悪化圏に転落した。台風・地震といった自然災害に加え、汚職疑惑に絡む抗議デモの発生で公共事業が滞るなどの逆風もあった。





