“ミィ” 泰のビジネスを学ぶ BNK48大久保美織の挑戦


長谷場:前回までは外国企業規制法から現在の外国人事業法に至るまで、タイ政府の外国企業に対する規制の変化を見てきました。

ミィ:でも規制する方向はあまり変っていないということでしたよね。

長谷場:さて、今回から説明するのは「タイへの投資や企業進出を支援しましょう」、という動きです。現在は投資奨励法と呼ばれている法律がありますが、元々は1954年に制定された「産業奨励法」という法律でした。この法律の運用窓口として現在のタイ投資委員会(THAILAND Board of Investment:通称BOI)の前身となる組織もこの時に発足しています。

ミィ:BOIは海外の企業をタイに呼び込むために色々とサポートしてる機関ですよね?

長谷場:おっ。良く知っているね。でも実はBOIの支援は外国企業だけではなくて、タイ企業も対象としています。よく「BOIは外資優遇」と勘違いされるんですが、実はタイ企業・外国企業ともにタイでの投資を促進している機関です。そのための武器が「法人税の免税」に代表される「恩典」と呼ばれるものです。

ミィ:へぇ。タイ企業も対象だったんですね。外国企業だけだと思っていました。

長谷場:そうなんですよ。よく間違われているポイントですね。現在のルールでは全ての企業が対象となる税制面での恩典以外に、BOIの奨励を受けている外資系企業は「土地の所有許可(タイの土地法上、本来、外国人は土地の所有不可)」「100%外国資本での法人設立の許可」「VISA、就労許可に関する優遇」という恩典を受けることができます。しかし、これらはタイ人やタイ企業であれば当然に認められている権利か、そもそも不要なものであるので、「BOIはBOIが奨励する事業を行う外国企業に対して、タイ企業と同様に支援し、同等に近い権利を与えている」というのが正確だと思っています。

ミィ:そうだったんですね。確かに外国企業をタイ企業より優遇したらタイ人が怒るでしょうね。

長谷場:そうですよね。さて、1954年の産業奨励法ですが非常に使い勝手が悪く、法律ができてから58年までに申請があったのは僅か9プロジェクトでした。さらに、認可された6件は政府系の公営企業が中心だったようです。

ミィ:えー、意味なーい。

長谷場:その理由として、BOI自身も認めていることなのですが、この法律は透明性に欠けたうえ、奨励を受けるには内閣の承認が必要で複雑な手続きを求められていたんです。また、それだけの手間をかけても得られる法人税の免税期間は2〜5年と短かったのです。さらに、「外国資本導入認可に際しては、タイ政府が一定率の株式を保有」といった指導もあったといわれています。このため、外国企業がこの法律があるからという理由で、どんどん投資しようとはならなかったみたいです。

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