湘南海岸とオリンピック

晴れた日の湘南海岸は、のんびりとした空気で満ちていた
第27回

湘南海岸とオリンピック

写真・文/吉田一紀

1964年に開催された東京オリンピックの翌年、父の仕事の関係で僕たち家族は東京都の大田区から神奈川県の茅ヶ崎に引っ越した。当時の茅ヶ崎には今のように家屋は多くなく、大通りから少し入ればまだ未舗装の砂をかぶった道が入り組んでいるような感じだった。海の砂浜も今よりずっと広く、松の防砂林もまるで針葉樹林を思わせるほど豊かに植えられていた。
 ある日、父が江ノ島に連れて行ってくれた。ヨットハーバーに立ち寄ると、ここで去年、オリンピックのヨットレースがあったことを教えてくれた。僕は、オリンピックには陸上競技しかないと思っていたので、それをとても意外に感じたことを憶えている。
 そんなヨットレースは、東京2020大会でも江ノ島が開催地となる。正確にはセーリングというらしいが、僕の中ではヨットレースと呼んだ方が、なぜかぴんとくる。湘南海岸もいろいろ変わってしまったが、今年はまた新しい思い出を刻むことになる。

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