©ムアンチェンマイ市遺産センター
タイ北部に暮らす少数山岳民族・モン族(Hmong)は、中国南部にルーツを持つ民族です。19世紀、漢民族による迫害を受けて多くのモン族が故郷を離れ、南や南西へと移動しました。ミャンマーやラオスに避難した一部の人々は、さらなる政情不安に巻き込まれ、最終的にタイへ亡命したといわれています。
こうした過酷な歴史のなか、モン族の女性たちは刺繍を通じて、自分たちの物語を布に刻み続けてきました。彼らにとって刺繍は単なる装飾ではなく、文化や信仰を伝える大切な手段であり、家族の幸福や健康を願う祈りそのもの。一針一針に未来への希望が織り込まれています。
日常と精神文化をつなぐ
生活に根ざしたモチーフが多く用いられる一方で、デザインや意味は地域によって異なり、モン族の刺繍文化の奥深さを物語っています。たとえば、パヤオ県のモン族に伝わるうずまき模様は、宗教儀式に使われる巻貝や、太陽と月の軌道を表し、自然の摂理そのものを象徴しているとか。
鮮やかな糸で丁寧に縫い上げられた刺繍には、彼らの強さと誇りが宿っているのです。
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