「ヤードム」とはメントールを主成分とするタイの嗅ぎ薬。タイでは日常的に使われており、タイ人にとってはなくてはならない必需品。
なかでも「ホンタイ」は香りの強さと清涼感で絶大な人気を誇るブランド。
ところが今、同ヤードムにある問題が発覚し、大きな騒動へと発展している。
10月30日、タイ食品・医薬品委員会(FDA)が「ホンタイ(ヤードム)の一部ロットから基準値を超える微生物が検出され、衛生基準を満たしていない」として製品の回収を命じたのだ。この情報はタイのメディアでも大きく報じられ、愛用していた消費者からも厳しい目を向けられる事態となった。
さらにその後の調査で、製造過程の一部がFDA未承認の工場で行われていたことも判明。同工場は商品へのラベルの貼付と包装作業のみでの稼働だったというが、正式な許可を得ていなかったことが問題となった。予想を上回るオーダー数に生産が追いつかず、未承認の新設工場を使わざるを得なかったという。幸いにして中身のハーブ部分は承認された工場で製造されていたことから、かろうじて最悪の事態は回避された。
これを受け同社は緊急記者会見を開き、消費者へ向けて製品の安全性への理解を求めるはずだったのだが、代表者の「我々は不当な扱いを受けている」「当局にいじめられている」などと“自分たちも被害者”という発言によりブランドへの信頼が急低下。「誠実な謝罪がほしかった」「愛用していたのに残念」といった批判が相次いだ。
回収された製品以外のロットは「健康被害の恐れはない」というが、なによりも国民からの信頼回復が先決だろう。




