【アセアン】「米中2択なら中国選択」、初の半数超え=意識調査

【亜州ビジネス編集部】

シンガポールのシンクタンクであるISEASユソフ・イシャク研究所が2日発表した意識調査で、東南アジア諸国連合(ASEAN)が戦略的提携先として米国か中国の2択を迫られた場合、「中国を選ぶ」と答えた人の割合が50.5%となり、初めて米国を上回ったことが分かった。中国との経済的なつながりが強まる一方、米国に対する「世界の警察」としての見方が薄まっており、潮流が変わり始めている。

調査はASEAN加盟10カ国で2024年1~2月に実施し、1994人の回答を得た。安全保障や外交、経済に関する意識調査のほか、労働・観光したい国といったアンケートも行った。調査にこの2択を含めたのはバイデン政権が発足した20年からで、今回が5回目。これまでは「米国を選ぶ」が半数を超え、23年には61.1%に上ったが、今回初めて中国に傾いた。

今回の調査で「中国を選ぶ」と答えた割合を国別にみると、イスラム圏のマレーシアが75.1%で最高。これに続くインドネシア(73.2%)、ブルネイ(70.1%)でも70%を超え、軍事同盟があるタイ(52.2%)も中国に傾いた。一方、中国と領海を争うフィリピン(16.7%)とベトナム(21.0%)は依然として米国の割合が高く、シンガポール(38.5%)とカンボジア(45.0%)でも米国優位となっている。

ASEANに最も経済的な影響を与える域外国を選ぶ質問では、59.5%が中国と回答。前年の59.9%からほぼ横ばいで、米国は14.3%だった。地域安全保障のパートナーとして米国への信頼度を問う質問では、「信頼できる」と答えた割合が34.9%と、前年の47.2%から大きく低下。一方、米中摩擦の不確実性に対応するための第3国を選ぶ質問では、欧州連合(EU)が37.2%で最も割合が高く、日本が27.7%で続いた。


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