【亜州ビジネス編集部】
米S&Pグローバルが5日発表した東南アジア諸国連合(ASEAN)の2025年4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.7となり、前月の50.8から低下した。景気拡大と悪化の分かれ目である50を下回るのは16カ月ぶり。米国の相互関税発表で先行き不透明感が強まる中、ベトナムやタイなどで新規受注が大きく落ち込んだ。
ASEAN全体では生産高、新規受注の指数がそれぞれ16カ月ぶり、13カ月ぶりの50未満に転落。共に44カ月ぶりの低水準となった。企業は6カ月ぶりに購買を減らし、雇用も削減。今後の見通しについては、楽観する見方が引き続き優勢なものの、楽観の度合いは低下した。
7カ国のうちベトナム(45.6)など5カ国で指数が前月を下回り、うちタイ(49.5)とミャンマー(45.3)はミャンマーで3月下旬に発生した大規模地震の影響もあった。
ベトナムの指数は23年5月以来の低水準を記録。新規受注が急速に落ち込み、生産高も減少に転じた。米国の関税政策の影響で今後に対する懸念も高まっている。タイは新規受注の落ち込みが1年ぶりの大きさだった。ただ受注残の処理が進む中で生産高は増えた。
一方、米国が課す相互関税率が他国に比べ低かったフィリピン(53.0)とシンガポール(約53)の指数は前月を上回っている。フィリピンは2カ月ぶりに50超を回復。5月に行われる中間選挙を前に生産高と新規受注が力強く拡大した。