【亜州ビジネス編集部】
陸上交通庁(LTA)によると、2025年1~4月の乗用車(タクシーを除く)の新規登録台数で、中国電気自動車(EV)最大手の比亜迪(BYD)が3002台となり、同期としてはトヨタを抜いて初の首位に立った。市場シェアを20%に伸ばしている。ストレーツタイムズなどが15日付で伝えた。
2位はトヨタの2050台で、これに独BMWが1693台、同メルセデス・ベンツが1684台、ホンダが1497台で続いた。EVの米テスラも好調で、1~4月の販売は535台と6位に入った。
BYDの新規登録は20年にわずか3台にとどまっていたが、21年に89台、22年に786台、23年に1416台、24年には6191台と急速に販売を伸ばしている。手頃価格と充実した装備が人気を後押しし、購入者からは、「同価格帯のガソリン車より装備が優れている」「快適な内装や機能が充実している」といった声が聞かれるという。同社のスポーツ多目的車(SUV)「ATTO3」はサンルーフや通気シートなどの機能を備えつつ、同等のガソリン車より約2割安いとの指摘もある。
一方、トヨタは安定した販売を維持しており、24年は7876台でブランド別トップだった。米テスラも24年には2384台を販売し、前年比で2.5倍に増加したが、BYDの急伸には及ばなかった。
EV専門のユーチューバー、ダレン・ヨン氏は、「かつて中国製は二流と見られていたが、品質の高さが徐々に認識されるようになってきた」と指摘。スマホやドローンのように、EV分野で技術力やブランド力を高めているとした。
一方、中古市場での再販価値(リセールバリュー)でBYDはテスラに劣るとの指摘もある。またEV全体の話として電池の劣化に対する懸念があり、「あえて中古車を選ばず、新型を待つ」との傾向もみられるとしている。
LTAによると、他の中国EVブランドの新規登録も増加傾向にある。1~4月は小鵬汽車(エックスポン)が260台(24年通期=336台)、広州汽車(GAC)が263台(同310台)、吉利汽車傘下の高級EVブランド「ジーカー(極コク)」が77台(同99台)で、中国勢全体としてシンガポール市場での存在感を強めている。





