【亜州ビジネス編集部】
政府は、自動車部品の輸入関税優遇制度に関する新たな政令199号(199/2025/ND-CP)を公布し、8日付で施行した。環境対応車の生産を後押しするため、従来の政令26号(26/2023/ND-CP)を修正・補足する形で優遇の適用条件を緩和した格好。持続可能なモビリティーの実現を目指す産業政策との整合性を図る。政府公式サイトなどが10日付で伝えた。
政令26号では、自動車メーカーが部品輸入の関税優遇を受ける場合、ガソリン車とディーゼル車の生産台数を一つの条件としていた。一方、新たな政令199号では、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、燃料電池車、バイオ燃料車、天然ガス車といった環境対応車の合算を可能とした。
また自動車メーカーが他社に35%超の出資を行っており、その企業が商工省から生産認可を受けている場合には、関連企業間の生産台数を合算して申請できるようにした。ただし親会社には出資比率と対象となる生産実績の正確な報告が義務付けられる。
関税の還付は、優遇措置の適用期間中に実際に生産・出荷された車両台数に基づき行われる。不正申告が発覚した場合には、追徴課税や税務違反としての罰則が科される。
一部原料の関税変更
政令199号では併せて、半導体や電池などに使われる一部材料について輸出入関税を見直した。戦略資源の保護や環境配慮、国内産業の高度化が狙い。
黄リンについては、輸出関税を現在の5%から段階的に引き上げ、2026年1月1日には10%、27年末までには15%とする。黄リンは肥料や農薬に加え、半導体やリチウム電池といった高付加価値分野での需要が高まっており、輸出関税の引き上げで国内での使用を促す。
また、ブリキ原板(TMBP)の輸入関税は、25年8月末まで0%を維持した後、9月1日から7%に引き上げる。さらに一部のポリエチレン製品については、0%から2%に輸入関税を即時引き上げた。
今回の制度改正では、環境対応車の普及促進に加え、半導体や電池、化学素材といった戦略産業の育成も図る。政府は今後も資源利用の効率化と持続可能な産業構造への転換を進めるとしている。





