【亜州ビジネス編集部】
インドネシア中央銀行は17日、定例の金融政策決定会合の結果、政策金利(7日物リバースレポ金利、BIレート)を0.25ポイント引き下げて4.75%に改めると発表した。利下げは昨年9月以降で6度目となり、累計1.50ポイント引き下げて2022年末以来の低金利水準とした。
ロイター通信によると、31人のエコノミスト全員が据え置きを予想しており、今回の決定は7月、8月に続くサプライズとなった。ジャカルタ総合株価指数は発表直後に過去最高値を更新し、通貨ルピアも小幅に上昇した。
ペリー・ワルジヨ中銀総裁は会見で、「国内の成長は依然として潜在力を下回っており、需要を押し上げる必要がある」と述べ、金融市場の安定を維持しながら追加緩和の可能性を探る姿勢を示した。
一方、国内では政府の財政と中銀の独立性に対する懸念も浮上している。8月末以降の抗議デモや、スリ・ムルヤニ・インドラワティ前財務相の突然の解任が市場を揺さぶる中、国会では中銀に成長支援義務を強める法改正案が審議されており、総裁解任勧告権を付与する条項も盛り込まれている。
2025年第2四半期の国内総生産(GDP)は5.12%で、3年半ぶり低水準だった前四半期の4.87%から加速し、過去2年の最高水準となった。ただ新任のプルバヤ・ユディ財務相は、第3四半期に陰りが見えているとした上で、銀行の流動性が不足していると中銀を批判。120億米ドル超の政府資金を中銀から市中銀行に移す措置を実施した。これに対しワルジヨ総裁は、「流動性は十分だが、企業の慎重姿勢から融資需要が弱い」と反論し、銀行が未使用の融資枠が2372兆ルピア(約1440億米ドル)に上っていると説明。見解の相違が浮き彫りになっている。





