【亜州ビジネス編集部】
シンガポール民間航空庁(CAAS)は25日、出発便に対して課す再生航空燃料(SAF)賦課金の導入を延期すると発表した。中東情勢の悪化に伴う燃料価格の上昇や航空会社・旅客への影響を踏まえた措置で、当初予定していた年内の導入を見送り、来年以降に後ろ倒しする。
今回の変更によりSAF賦課金の対象は、今年10月1日以降に販売され、来年1月1日以降に出発する便からとする。昨年11月の発表では、今年4月以降に販売する同年10月以降の出発便から適用する計画だった。対象は旅客便や貨物便、ビジネスジェットなどで、乗り継ぎ客は対象外となる。
ストレーツタイムズによると、賦課金は距離や座席クラスに応じて1.0~41.6シンガポールドル(約124~5170円)の範囲に設定。徴収した資金は廃食用油などを原料とするSAFの調達に充当される。SAFは既存の航空機や給油設備で利用可能な脱炭素手段として注目されるが、従来燃料の3~4倍のコストが課題となっており、賦課金を通じた導入支援が柱となる。
政府は当初、チャンギ空港とセレター空港の出発便で使用燃料に占めるSAFの割合を2026年に1%とする目標を掲げていたが、今回の延期に伴い27年に後ろ倒しする。一方、30年までに3~5%へ引き上げる中期目標は維持し、供給体制や国際動向を踏まえながら段階的な導入拡大を図る。
CAASは「航空分野の脱炭素化への方針は不変」とした上で、「現状を踏まえた現実的な一時停止を決めた」と説明。傘下の非営利会社シンガポール・サステナブル・アビエーション・フューエル(SAFCo)による集中調達の試験運用などを通じて制度本格導入に向けた準備を継続し、航空業界と連携しながら実効性の確保を目指すとしている。




