本帰国後の教育

家族にとって、帰国後の子どもの教育(進路)は心配ごとの一つです。どの学校に「いつ、どのようにして入学・編入」すればよいのでしょう?

私立中学校への入学&編入学

帰国生の受け入れ体制を持つ学校の方針は、大きく3つに分かれます。

  • ① 海外に長く滞在していた帰国生を対象に、学習のフォローや日本の学校生活への適応指導をする。
  • ② 外国語能力や海外経験で得た特性などに期待し、その能力を伸ばす。
  • ③ 国際理解や外国語教科の推進役として帰国生に期待するが、あえて特別扱いはしない。

①②の場合は帰国生だけで学級が構成されていたり、英語などの特定した教科を帰国生(又はその教科において優秀な生徒)のみで学ぶといった、「取り出し授業」が行われることもあります。


基礎知識 出願資格・条件

入学と編入学試験ともに、帰国生として受験する場合の出願資格・条件は下記の通りです。ただし、規定を満たしていない場合でも柔軟に対応してくれる学校もあるので、まずは直接問い合わせてみましょう。

  • 海外で外国の学校教育を受けた人。ただし、日本人学校に在籍していた場合は帰国生としての受験が認められないこともあります。
  • 一般的に海外(継続)滞在年数が2年以上あれば、帰国生として認定されます。多くは帰国後1〜3年以内ですが、 地域や学校によって細かい規定を設けている場合もあるので確認しましょう。

基礎知識 試験時期

入学試験

一般的に関西圏や埼玉県は1月、東京都や神奈川県では2月に一般入試が行われます。
また、帰国生入試はこれに先駆けて実施されますが、近年は10月頃から行う学校も。
中学入試の場合は受験の1〜2年前には帰国し、本格的に準備を始める家庭が多くみられます。 子どもの入試には、綿密な受験計画や保護者のサポートが必要不可欠です。


編入学試験

一般的には1学期末に行われる「9月編入者向け」と、3学期末の「4月編入者向け」に志願者が集中。ごく少数ですが、2学期末にも編入学試験を行う学校がある他、随時実施している場合もあります。
ただし、編入学試験は「欠員募集」の要素が強く、定期的に実施されるかはわかりません。また、ギリギリにならないと募集要項が発表されないことも多いため、過去の実績や傾向などを調べておくとよいでしょう。


基礎知識 出願書類リスト

入学願書一式

記入例を参考に、自筆で丁寧に記入すること。日本での住所が未定の場合は親族などに相談するのも一つの手です。


海外の学校に在学した証明書

在学・卒業証明書に加え、成績証明書(原本)、又は成績表のコピーを提出するのが一般的です。和訳添付の場合、教科名や成績表の評価の基準も説明しておきしましょう。


海外在留証明書

通常は、保護者の勤務先で発行してもらえます。公印が必要な場合もあるので確認しておきましょう。


海外滞在歴一覧と志望理由書

出入国日や、小学校以降に転出・転入した日付を、きちんと書き留めておきましょう。


受験料納入証明書

海外から出願する場合は、事前に振り込み方法の確認を。難しい場合は、日本にいる親戚などに依頼しましょう。




帰国生入試で高校に入る方法

国際化が進む中で、海外から帰国した生徒(帰国生)を受け入れる高校は、国公私立を問わず全国で増加中。高校での「帰国生入試」の概要、実態、準備方法を紹介します。


基礎知識 出願資格

帰国生入試に出願するための資格は、主に次のふたつです。

  • ①すでに海外・日本国内合わせて9カ年の学校教育課程(小学・中学)を終了しているか、または入学年の3月末日までに終了見込みがある人。
  • ②海外の学校に継続、または通算して在籍した年数が一定以上あって、帰国日から受験する日までの年数が経過しすぎていない人。

②の年数は2年以上で、「帰国から受験までの経過期間」は1〜3年で設定されることが多いようです。そのほかに出願資格が追加される場合は、「入学後は保護者と同居すること」「指定する通学地域に移住すること(または予定)」「保護者の帰国後に受験者本人だけで在留した期間や、本人単独で留学した期間は海外の学校での在籍年数に含まない」などが代表例。


基礎知識 選考方法

首都圏の一般入試では私立だと3教科(英語・数学・国語)、国公立では5教科(英語・数学・国語・理科・社会)での学科試験を中心に選考が行われます。
しかし、帰国生入試では国公私立問わず海外で受けてきた教育内容に配慮して、一般入試とは別の観点から評価できるように工夫されていることも多いようです。学科試験の教科数が5教科ではなく3教科に軽減されるケースもあります。


帰国生入試における4つの主な選考方法

①書類・作文・面接

「帰国生の受け入れ」を主な目的とした学校が中心。学科試験は行わず、海外で在籍していた学校での成績表や活動歴などを記した「書類」に、日本語か外国語(英語の場合が多い)による「作文」と「面接」で選考します。


②英語力を重視

私立の進学校などでは学科の「英語」のみか、「国語」が追加されたり、「作文」「適性検査」「面接」が加わることもあります。3教科の学科試験を課す場合でも、「出願書類の英語能力試験の成績を含めて評価」するなど、英語力を重視した措置がとられているようです。


③帰国生専用の問題

一部の学校では専用に作られた学科試験(3教科または5教科)で選考されます。「数学」「国語」は一般の入試より難度を下げ、「英語」をやや難しくするなどの工夫がされることも。


④一般と同じ問題

国公私立の難関校の多くでは、一般生と同等の学力を要求。帰国生には合格基準点を若干下げるなどの配慮をされることもありますが、競争はかなり厳しいです。



滞在時からの準備

情報収集

志望校の選定は海外にいても可能です。インターネットでウェブサイトを閲覧したり、海外から書籍を入手したりするほか、日本からの駐在員が多い都市に滞在していれば、現地の進学塾で情報を大量に仕入れることもできるでしょう。
選ぶ際、帰国生を受け入れている日本国内にある学校の体制は大きく3つに分かれることをふまえ、親子で比較・検討してみてください。

帰国生受け入れ校の教育体制(代表例)

  • ①帰国生の受け入れを主な目的として、生徒の大半を占める帰国生を中心に教育環境を持つ学校。
  • ②帰国生の受け入れが主な目的ではないですが、日本語の補習や一般生とは異なる特別な語学クラスや帰国生にも対応した生活指導センターなど、帰国生に対する“何らか”の体制を持つ学校。
  • ③帰国生枠での入試制度は設けていますが、帰国生を対象にした特別な受け入れ体制を持たず、基本は一般生と同様の教育を行う学校。

また、志望校が固まり始めたら、実際に学校へ足を運んでみましょう。帰国生を受け入れている学校では、帰国生に対応した学校説明会を開催するだけでなく、事前に問い合わせれば個別の学校訪問に応じてくれるところが数多くあります。さらに文化祭などの行事を公開していれば、それに行ってみるのも一案です。里帰りや一時帰国を利用して、参加してみることをオススメします。
ただし、参加には事前の予約が必要になる場合や、帰国生としての資格認定を義務付けている学校もあるので、計画はお早めに。


POINT

帰国生が多く在籍する学校でも「試験内容は国内一般生とほぼ同じ」ということもあります。


スケジュール

気をつけたいのは子どもが全日制日本人学校ではなく、現地校やインターナショナルスクール(以下、インター)に通っている場合です。先述しました通り、日本の高校に出願する際は一部の学校を除き、「入学年の3月末日までに9カ年の学校教育過程を終了するか、またはその見込み」が資格となっています。しかし現地校やインターに通う場合は、日本での修了月との違いからその条件を満たす前に受験期が来てしまうため、この“ズレ”に対処することが必要です。代表的な方法は4つあります。


9カ年の学校教育課程を修了&見込みにする方法

  • ①早めに帰国して中学校に編入し、3月末日までに修了見込みとします。
  • ②海外の全日制日本人学校に編入し、3月末日までに修了見込みとします。
  • ③海外の学校(中学相当)をそのまま卒業し、日本の高1途中(多くは9月)に編入学します。
  • ④海外の学校で高1相当に進んでから12~2月に退学して受験し、4月に入学します(自動的に1学年落ちます)。

どれを選ぶにしても、リスクは把握しておきましょう。
①は日本の中学校に馴染めないことから、受験勉強に集中できないこともありえます。
②だと全日制日本人学校は運営母体が私立なので、いつでも編入学できるとは限りません。
③は編入学試験自体が欠員補充であることも多く、志望校が実施しないこともあるでしょう。実施されたとしても高倍率になりやすいです。
④は学年が下がることへの精神的なストレスに対して、フォローが欠かせません。とはいえ、こうした方法で見事合格するケースも少なくありません。通年で編入学試験を実施したり、入学年の6月卒業見込みでも受験を認める学校が少数ながら出てきています。


POINT

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による想定外の動きになっても慌てないように、まずは基本形を理解しておきましょう。


受験の準備

海外滞在中、受験の準備はどのように進めるべきなのでしょう?前出の「帰国生入試における4つの主な選考方法」ごとに、その対策を紹介します。


書類・作文・面接で選考

対策としては、現在海外で在籍している学校での学習や課外活動に力を注ぎ、充実した学校生活を送ることが第一です。こうした選考では、現地の学校での成績や活動の記録が重要な選考基準となるので、できるだけ良い評価を得ておく必要があります。また作文や面接では、異文化での暮らしぶりや地域とのかかわり方など、学科試験では知ることのできない意欲や知的好奇心の旺盛さを、じっくりと見られることも知っておきましょう。
そのほか作文や面接の対策としては、試験で使用する言語自体の学習、文章作成の練習、これまでの滞在・教育歴を振り返って意見をまとめておくことなどが有効です。


英語力を重視して選考

まず、要求される英語力はかなり高いものだと心得ておきましょう。日本の文部科学省が認定している中学校の教科書レベルでは全く足りません。英検®2級相当の英語力があっても、特に人気校やいわゆる難関校では不合格になるケースが相次いでいます。
また、日本の英語問題の形式で出題されることはほぼなく、実践的な力を問う場合がほとんどです。英語のエッセイを書かせて総合力を図る学校も中にはあります。
そのため対策としては、まずは各学校の過去問題を入手して志望校の出題レベルを把握することでしょう。またごく一部ではTOEFL®やTOEIC®、英検®の問題集を使って勉強するのが有効な場合も。


帰国生専用問題で選考

求められるのは、日本の学齢での標準的な学力となります。問題のレベルは、日本の文部科学省が認可する教科書内での基礎的な部分にとどめられることが多いです。
そのため、極端に難しい受験用の問題集に取り組む必要はありません。学齢に合ったレベルの参考書や問題集を入手して、基礎的な問題を多くこなすことが得策になってくるでしょう。


一般と同じ問題で選考

帰国生に対し、選考段階で多少の配慮(合格基準点を若干下げるなど)はしてくれるものの、日本国内のいわゆる難関校を受験する子どもたちと同等の学力を求められることが多いです。
そのため、海外にある進学塾に通ったり、通信教育を駆使するなどしながら、日本国内でその学校を志望している受験生と変わらない勉強をしておく必要があります。



情報提供

ワイズ・パブリッシング・ジャパン株式会社
『帰国便利帳』


保護者に出来る帰国前後のグッドアクション

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