「日本では投資と聞くと身構えていましたが、今ではタイの資産運用のセミナーに参加するほどです」

駐在3年目のお客様よりそんな話を聞きました。赴任当初、彼はタイの金融システムを信用できず給料の大半を日本の口座に送金していたそうです。この変化は彼だけではありません。タイに暮らす日本人駐在員の間で、「貯金派」から「投資派」への転身が静かに広がっています。

意識を変える現地の環境
金融庁の調査によれば、日本の家計金融資産に占める現預金の割合は50%を超え、米国の13%と比較して極めて高いです。

タイは日本と比べて金利水準が高く、定期預金でも年利2-3%が普通です。ただただ置いておくだけで大きな違いが生まれます。日本では銀行に置いておくだけでは増えない環境なので投資に目が行きづらいというのはある意味仕方がないのかもしれません。まずはタイで定期預金からスタートして別の投資にも興味を持ったという人も多いのではないでしょうか。

「二重通貨生活」が育てる市場感覚
駐在員ならではの「円とバーツの二重生活」も投資意識を高めます。為替レートを日常的にチェックする習慣が、自然と市場感覚を養うのです。

「円安が進んだ時期に『通貨分散の重要性』を体感しました」ともおっしゃっていました。今ではバーツだけでなく米ドルも含めた三通貨でバランスを取る運用を心がけているとのことです。

帰国後も続く投資マインド
「タイで身につけた『世界を見る目』は大きな財産です。帰国後も国際分散投資を続けています」と語るのは帰国した元駐在員です。タイ駐在は多くの日本人にとって投資デビューの機会となり、そこで得た金融リテラシーは帰国後の資産形成にも貢献するようです。

「駐在は単なる仕事経験だけでなく、お金との付き合い方を学び直す機会です。その気づきが、将来の資産形成に大きな差をもたらすかもしれませんね」
タイの夕暮れに輝く高層ビル群を眺めながら、もっと多くの日本人の方の意識が変わっていくといいですね。