将来へ向けた資産形成や老後の生活を支えるための資金…こんな課題が取りざたされる中、タイ在住でもできる生命保険を通じた資産運用や節税が注目されています。タイにいる今だからこそ、知っておいて損はないのがタイの生命保険。医療保険との組み合わせで加入する人も多くいます。
タイの保険制度とは?
タイでは社会保障の一環としてとして「社会保険」と「国民保険」がそれぞれ制度化されています。まず「社会保険」は就労者を対象としていて、健康、扶養、失業を保障。この保険は外国人でも加入義務があり、タイ駐在の日本人も加入しています。そしてもう一つの「国民保険」は社会保険が適用されない国民に対して、30B均一の保険料で最大1,100Bまで保障するというもの。
以上のような保険制度があるものの、物価水準の差や個人的に求める保障内容に達していないことなどから、日本人は社会保障とは別に医療保険や生命保険に加入するケースが多いと言えるでしょう。
タイ政府が積み立てを奨励しているものの…
近年になり、タイ政府が社会保険の枠組みの中で積み立て制度を開始しています。
しかし、立ち上がって間もないため、支給された実績不足なのが現状。また、国民の多くが保険や年金に加入する経済的余裕がないのも確かで、はたして上手く運用できるのかも未知数だと言えるでしょう。
そこでタイ政府は、保険そのものの枠組みを広げ、保険会社による保険や年金への加入を奨励しています。
タイの生命保険とは?
日本では国民年金、厚生年金などの公的年金や国民健康保険が充実しています。一方のタイでは公務員の年金や医療保険はある程度充実しているものの、その他個人向けの保障制度となると十分とは言えません。そんな状況を補うようにして、民間の保険会社からは年金タイプなど、様々な生命保険が販売されています。
もちろん日本人でもパスポートやワークパーミットがあれば加入可能です。
節税対策としての生命保険に注目
すでに日本で生命保険へ加入している人は多くいますが、それに加えて節税目的でタイの生命保険に加入している人もいます。
タイでは日本と同様に民間の保険に加入することで、所得税控除をすることが可能。タイの個人所得税は日本以上なので、保険加入による節税効果は思った以上にあるもの。
例えば月収30万円に仮定すると、納税額は日本よりもタイの方が高額です。さらに高い収入を得ている場合は納税額も高額となってしまいます。
生命保険控除と年金控除の2種類が
控除上限は「生命保険控除」が年間最大10万Bまで。「年金控除」は課税される所得の15%からとなり、年間最大20万Bまでです。
したがって「生命保険控除」 と「年金控除」を合わせると年間最大30万Bまで控除が可能となります。契約期間はどちらも10年以上のプランが対象です。また、年金に関しては受給期間の開始が55歳以上であることと、終了が85歳以上のプランが対象となります。
勤務先が確定申告をしていれば申告も簡単
「生命保険」 や「年金保険」に加入していると、保険料の支払いを終えた年明けに、支払い証明書が保険会社から送られてきます。
勤務先が確定申告をしている場合は、その支払い証明書を経理に提出するだけ。例年だと4月以降に還付金が戻ってきます。
課税所得 | 税率 | 最高所得税 | 最大累計税額 |
0〜15万B | 非課税 | 0B | 0B |
15〜30万B | 5% | 7,500B | 7,500B |
30〜50万B | 10% | 20,000B | 27,500B |
50〜75万B | 15% | 37,500B | 65,000B |
75〜100万B | 20% | 50,000B | 115,000B |
100〜200万B | 25% | 250,000B | 365,000B |
200〜500万B | 30% | 900,000B | 1,265,000B |
500万B以上 | 35% | 所得金額による |
節税の例
所得税率が25%で年間積立金額が10万Bの場合
100,000X25%=25,000
年間で25,000Bの節税が可能になります。
生命保険と年金保険を合わせて年間30万Bを積み立てた場合
300,000X25%=75,000
年間で75,000Bの節税が可能になります。
※ただし、控除が有効となるのは積立期間中のみ。10年積立15年満期の生命保険プランの場合、積立期間である10年間が控除対象となります。
貯蓄型の生命保険
タイに住んでいる外国人ができる資産運用。もちろん株式や投資信託に取り組む人もいますが、注目されている手段として貯蓄型生命保険があります。生命保険は節税対策としても有効ですが、「タイに住んでいるから始められる貯蓄型生命保険」は資産運用の一つとしても魅力があると言えるでしょう。
海外の生命保険に加入できるアドバンテージ
タイを始め海外に住んでいる海外居住者にとっての資産運用。その大きなメリットの一つが、運用率が高い海外の生命保険に加入できるということです。日本居住者は日本の保険業法によって、そんな海外の生命保険には加入できません。
また、仮に駐在を終えて日本に帰国した場合も、タイに口座を残しておけばインターネットバンキングなどで支払いを続けることが可能です。
お金を貯めるのに最適な「積立貯蓄型プラン」
積立期間と満期期間が決まっているのが「積立貯蓄型プラン」。在タイ日本人に人気があるのは、積立期間が3年〜5年、満期時期は10年〜20年のプランだと言われています。もちろん所得税控除の対象となっていて、年間最大10万Bまでの控除が可能です。
利回りの高さが魅力の「年金型プラン」
タイにも個人年金型の生命保険があります。積立期間は最短5年から。年金受け取り時期は60歳〜90歳というものが多いようです。日本の年金型生命保険と比較して利回りが高く、年金額も100%保障しているものがほとんどなので、老後の備えに向いていると言えるでしょう。
さらに高利回りを期待できる 「タイ以外の国の生命保険」
タイ在住であれば、タイ以外の国の私的年金形成に適した生命保険にも加入できます。日本居住者では加入できないので、これはタイにいる場合の大きなメリットだと言えるでしょう。
資産運用には不動産投資や株式、投資信託など様々な手段がありますが、リスク等を考慮すると、私的年金の形成に最も適したのがやはり生命保険だとされています。
“タイにいるからこそ”
知っておきたい生命保険【ポイント】
- 月収30万円に仮定した場合、納税額は日本よりもタイの方が高額に。その節税対策になるのが生命保険
- タイで生命保険控除と年金控除を申請すれば、年間最大30万Bまでの控除を受けることが可能
- タイの積立型生命保険の利回りは約2.3%〜2.7%。日本の場合は良くても1%程度
- 日本人でもパスポートとワークパーミットがあれば、タイの生命保険への加入は簡単
- 積立期間と受取期間が確定しているタイプが多く、年金保険は受取金額が100%保障されているものが多い
- 銀行預金だと利息に15%の税金はかかるが、生命保険の満期で返ってくるお金は非課税
- 日本に帰国後も契約の継続・満期金の受取が可能
ライフステージや将来に向けた生活設計などに合わせて、保険にはさまざまなタイプが用意されています。詳しくは、下記の「保険のプロフェッショナル」にご相談ください!