日本貿易振興機構(JETRO)
バンコク事務所 知的財産部長 加藤 範久 Kato Norihisa
2003年特許庁入庁。特許審査官として、土木、アミューズメント分野の特許出願の審査に従事。2017年10月より現職。
タイでの知財拳(権)5か条を覚えるべし!


マーケットやECサイトで模倣品を見つけたら、取得した知財権を使って対抗措置を取りましょう。
対抗措置を取らずに見過ごしていると、模倣品業者の悪行はさらに活発化します。
知財権者として、模倣品業者に警告状を送付するだけでも、模倣品の販売が止まる事例も多くあります。
せっかく会得した知財拳(権)を実践することが重要です。

特に、商標権で多いのが「冒認出願」と呼ばれる他人のネーミングやブランドを無断で出願して権利を取得する行為です。
このような悪意ある行為に対抗するためにも、その②で説明した通り、先に出願をしておくことが重要ですが、予期せぬ事態となることもあります。
タイで商標出願された情報は登録になる前に公開されます。 他者の出願についてもしっかりと監視して自社ブランドに関係した冒認出願があった場合は、それを無効にするための異議申立てを行う等の対抗措置を採ることが必要です。

模倣品を流通させないためには、タイの一般消費者の意識が重要になります。
2016年の調査では、バンコクに住んでいるタイ人の78.4%が模倣品を購入したことがあると答えています。
その理由としては、「本物の値段が高いから」(41%)、「知的財産を尊重する意識がないから」(22%)とのこと。
この「78.4%」という数字を少しずつでも下げることが肝要なのですが、この難題に対してできることから始めていただきたいと思います。
まずは、社内で一緒に働いているタイ人スタッフに知財権の重要性と活用方法を知ってもらうことです。
日系企業社内での知財拳(権)の伝承をお願いします。