©タイ首相府
「懸念や怒りを抱いたタイの人々に謝罪したい」。そう話すのはタイ・ペートンタン首相だ。
5月28日、タイとカンボジアの国境付近で発生した軍事衝突。これがきっかけとなり、両国の対立が激化し、双方が禁輸などの措置をかけ合い、国境が閉鎖される事態に。そんな緊張状態が続くなか、ペートンタン首相とカンボジアのフン・セン元首相の非公式な電話会談が行われ、その際に録音された音声データがフン・セン氏のSNSで公開されてしまったのだ。
問題となった音声ではペートンタン首相が、タイ軍を「対立している側」と呼ぶなどカンボジア側に寄り添った発言が多くみられ、タイ国内では首相に対する批判や反発が一気に加速。首相の辞任を求める大規模なデモが行われ、さらには上院議員の一部が首相の解職を憲法裁判所に申し立てるなど、首相をめぐる政治的混乱はとどまるところを知らない。
そして事態が一変したのは7月1日の午後。同日午前には内閣改造が実施され名簿リストが公開されたのだが、そのわずか数時間後、憲法裁判所はペートンタン首相に対し、一時的な職務停止を命じたのだった。
これを受け、同首相は「憲法裁の判断を受け入れる。今後は国境紛争への対応における自らの行動について弁明を尽くしつつ、国のために尽力する」という考えを示した。
昨年9月、史上最年少で首相の座に就いたペートンタン首相。憲法裁の判断によっては“解職”となる可能性もあり、国内政治の混乱が一層深まるおそれもあるという。
追い込まれたリーダーの今後の行方に注目が集まっている。




