タイと日本の間に立つ
引く手数多の俳優・仕掛人


タイ国内で俳優として活動し、街を歩けばサインや撮影を頼まれる有名人。
現在は、日本を紹介する番組「SUGOI JAPAN」の制作やイベント企画・
プロデュース、講演会など多岐に渡り活躍する佐野さんをご存知ですか?

 

偶然は必然。タイでもっとも有名な日本人とも言われる佐野ひろさんを見ていると、そう思わずにはいられません。
「もともと、人と違うことがしたい、日本を出たいとはずっと思っていました」。

取材当日、冒頭でそう切り出した佐野さん。日本で俳優として活動していた時期に、旅先で知り合ったメディア業界で働く友人に会いに来タイ。同時に、3社のCMのオーディションへ誘われ、結果は……すべてメインキャストとして採用。そのCMは日清、ケンタッキーフライドチキン、ハイネケンとどれも大企業。これをきっかけに、佐野さんはタイを拠点に活動することを決めました。

プロモーションビデオの出演から始まり、舞台、テレビ、映画へと活躍の場は拡大。タイで大ヒットとなったドラマ『プンポン』や日タイ修好120周年記念ドラマへの出演など、佐野さんの顔と名前は一気に広がっていきました。

けれど、その成功とは裏腹に、佐野さん自身にはある疑問が生まれていました……このままでいいのかと。

「日本人の役として仕事をいただけるようになったのですが、それはどれも日本“っぽい”ものであって本当の日本の姿ではありませんでした。例えば、侍の役でも刀は中国製だったり、小道具が明らかにその時代にそぐわないものだったり。細かいところですが、そのズレにとても違和感を感じていたんです」。

そんな想いを友人に相談したところ、返ってきたのが「ひろ自身が“本当の”日本を紹介したら?」。そのひと言に突き動かされ、自らの会社を立ち上げ、番組制作を始めることになったのでした。

大切にしているのは、直感と
チャンスに反応できる瞬発力

そうして出来上がったのが、佐野さん自身が日本各地を訪れる旅番組「DISCOVER JAPAN」。佐野さんはこの番組の立ち位置を“日本へのひとつ目の扉”と捉えました。富士山や京都といった王道の名所を紹介することで、日本に興味を持ってもらおうと考えたのです。

次に作った番組が「WABISABI」。温泉の入り方や靴のそろえ方といった日本ならではの文化や習慣を紹介しました。それまでの王道スポットから一歩踏み込んだ、知識・教養としての日本を知ることは、当時のタイの人たちにとっては新鮮で画期的なものでした。

そして、現在放送されているのが「SUGOI JAPAN」。タイ人の日本渡航へのビザが免除される1年前に始まり、その後はさらに番組に対する注目度が上昇。日本への観光熱はヒートアップし、最近では地方にもタイ人が訪れるようになりました。そこで、目をつけたのがキャンピングカー。地方では車でしか行けないスポットが多いため、キャンピングカーを使うことで、実際に行くイメージを伝えたかったと佐野さんは言います。

日本を離れ、タイ人の視点で番組を作ることで、日本の良さが改めて分かったという佐野さん。タイと日本の間に立ち、番組の枠を超えてさまざまな活動を続ける彼の10年後を尋ねると

「今は、講演やイベントのプロデュース、アドバイザーなど幅広く仕事を受けています。たまに自分の職業が分からなくなりますが(笑)、ひとつに絞らず、きっと10年後もカタチにとらわれることなくやっていると思います。“タイ”と“日本”。この2つのキーワードがあれば十分です」。

自身で制作・プロデュースする番組「SUGOI JAPAN」は、幅広い世代から支持を受ける

 


PROFILE
佐野ひろ Hiro Sano
GUZEN Co., Ltd. 代表取締役。1975年生まれ。静岡県生まれ横浜市出身。日本で俳優として活動し、2001年にタイへ移住。日本同様、俳優として活動しながら07年、現職に。ナビゲーターとして日本各地を紹介する番組をプロデュース。日本とタイを行き来しながら奮闘中。好きな言葉は「人生一回」。リラックス方法はカメラ無しでの旅行、ヨガ、スマートフォンに触れない日をつくること。

 


SUGOI JAPAN
タイ人に知られていない日本の
魅力を紹介するTV番組
タイのチャンネルONE31HD
で放映されるとともに、YouTubeでは再生回数125万回を超える放送回もある人気番組。
[問い合わせ]
Website: www.sugoijp.com


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