日本人に人気のタイは他の東南アジア諸国に比べると「比較的治安もよく、安全に暮らせる国」といわれています。在タイ日本人が多く住むバンコクをはじめ、日中であれば女性のひとり歩きも大きな問題はありません。
それでも日本と比べると、スリや窃盗、詐欺事件などの犯罪から、時には発泡や爆発事件等、様々な危険があるので注意が必要です。
そこでよく聞くタイ在住のトラブルや危険なことを“トラブル・犯罪編”、“身近な危険編”、“タイでよくある詐欺話編”に分けて紹介します。
「タイなら大丈夫」と楽観視せずに、気をつけて生活することが大切です。
タイの危険・トラブル トラブル・犯罪編
まずは、日本人が巻き込まれやすいトラブルや犯罪に関する危険です。海外だからといって羽を伸ばしすぎてしまうと、いつトラブルに巻き込まれるかわかりません。
1 大麻
タイでは2022年6月より、大麻が指定禁止薬物の対象から外され、合法化されました。しかし、大麻の栽培・所持・健康・医療目的での使用は認められているものの、娯楽を目的とした吸引等は認められていません。そのため、公共の場で大麻を使用すると罪に問われます(3カ月以下の懲役、または25,000B以下の罰金、もしくはその両方が科せられる)。
大麻には2種類の成分があり、リラックス作用をもたらすCBD(カンナビジオール)と気分を抑揚させる効果のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)です。この2つの成分のうち、CBDには麻薬成分は含まれていないため合法的に使用できますが、THCは中毒作用があるため違法とされています。日本でCBDは規制されていませんが、タイから日本に大麻や大麻成分入りの商品を持ち込んでしまうと、大麻取締法違反の罪で処罰の対象になるので気をつけてください。
よくある事例をあげると、大麻入りとは知らずにお菓子を食べたりドリンクを飲んでしまうこと。街中の屋台やバー、クラブなどで知らない人から「これ美味しいから飲んでみなよ(食べてみなよ)」とすすめられて口にするのは大変危険です。
最近では、日本人観光客による娯楽目的での大麻使用が増えており、大麻を吸引し錯乱した日本人が「襲われる」「命を狙われている」などと在タイ日本大使館に電話してきて保護を求めてきたり、大麻を吸引して意識を失い病院へ搬送されたケースなどが起こっています。「知らなかった」では済まされないので、自分の身を守るためにも、絶対に大麻に手を出さないようにしましょう。
大麻による健康被害
精神障害
- 抑うつ状態
- 無動機症候群(無気力、やる気の低下)
- 集中力の低下
- 慢性中毒性の不安状態
- 精神依存性
身体的影響
- 幻覚・幻聴の症状が現れる(フラッシュバック)
- 意識の錯乱や混濁
- 脳機能の低下(記憶力・学習能力の低下)
- 呼吸器障害
- 眠気(倦怠感)
タイの大麻について知っておくべき10のこと
タイ保健省医療大麻研究所は、外国人観光客にタイの大麻について知ってもらうためのガイドラインを発表しました。
- 個人的な目的で大麻の種子やそれ以外の部分をタイから持ち出すこと、またはタイへ持ち込むことは禁止
- 大麻の栽培は合法だが、FDA(食品医薬品局)のアプリ「Plook Ganja」や政府ウェブサイトからの登録が必要
- 研究、輸出、販売、商業目的で大麻の花を使用するには、正式な許可が必要
- 20歳未満、妊娠および授乳中の女性が大麻を使用することは、医療専門家の監督下にある場合を除いて、認められない
- THC0.2%以上を含む大麻抽出物や合成THCの所持には許可が必要
- 大麻料理を含む料理は、認可されたレストランのみで食べることができる
※タイの食品法では、大麻の花を料理や食品に使用することは禁止されているが、他の部位に関しては認められている。 - 認可された大麻健康製品は決められた手段でのみ入手可能
※洗い流すタイプの化粧品、食品(乳幼児を除く)、ハーブ製品は、大麻の花を除く部位、CBD、ヘンプシードオイルや抽出物を使用したもののみ許可。
※医療用の大麻抽出物を購入するには、医師の処方箋が必要。処方箋があれば、政府系の病院、民間クリニック、薬局で購入できる。 - 公共の場(学校やショッピングモールなど)で大麻を喫煙することは違法
- 大麻製品・食品を摂取した後は車の運転を避ける
- 大麻製品・食品の消費により深刻な健康問題が生じた場合は、すみやかに医療機関を受診する
日本への持ち帰りに注意すべき商品 ※一例
袋やパッケージに大麻の葉っぱや「Hemp」「Cannabis」「CBD」「THC」といった文字が書かれているものは大麻成分入りの商品です。誤って購入しないように絵柄や文字を確認することが大切。
万が一、日本へ持ち帰ってしまった場合、処罰の対象となります。絶対に持ち帰らないようにしましょう。
【日用品】
【食品(お菓子・ドリンク)】
2 強盗
日本人が多く住むスクンビットエリアは比較的安全とされていますが、それでも外国人というだけで狙われる可能性があります。特に夜〜深夜は単独での外出を避け、日中でも人通りの多い場所を選んで出かけるようにしましょう。また、外出する時はもちろん、在宅中も戸締まりは常にするように心がけましょう。
3 銃
タイの法律では銃の所有と使用する前には申請して許可が必要となりますが、違法で所持している人がかなり居るのが現状。
タイは銃社会です。タイ人は8つの条件(成人、健常者、精神障害ではない、仕事に就き収入がある、住居がある、住所登録しタイに6カ月以上居住している、薬物使用なし、犯罪歴なし)を満たしていれば誰でも銃を所持する申請ができます。ただし、この申請は一般人が合法的に銃を「買える」というだけで、銃を「所持」することはできません。しかし、護身用として違法で所持している人が多いのが現状です。
4 ひったくり・スリ
車道側でバッグや貴重品を持つのは避けてください。
2人乗りのバイクが背後から近づいて来て、ひったくられるのはよく聞く話です。その時に鞄などを手放さずに抵抗するとそのまま引きずられて大怪我をするケースも。そのようなことが起きないように、貴重品は車道の反対側でしっかり持つ、リュックやショルダーバッグは背負わずに前で抱えるようにして持つ癖をつけましょう。
また、スリは1人ではなく複数人で犯行を行うことが多いです。
背後から近づいてきて盗まれた場合、逃げる犯人を追いかけようとすると、前に居た他人を装う共犯者が通れないように邪魔してきます。男性の場合「急に女性が話しかけてくる」「腕を掴む」「抱きつかれる」などで隙ができた時に、共犯者が財布や貴重品を盗むというケースも。ひったくり犯・スリ犯ともにターゲットの目星を事前につけて犯行を行いますので、常に警戒してください。
最近BTSの駅やスクンビット通りで、日本人や旅行者をターゲットにしたスリ被害が多発しています。観光客の増加に伴い、スリの動きも活発化する恐れがあるので、十分な注意が必要です。買い物や食事中、移動中など特にバッグや貴重品から目を離さないようにしましょう。
CHECK!
- 歩きスマホに要注意!
バッグ等のひったくりに注意していても、意外と盲点なのがスマホです。特に高値で売れるiPhoneなどのスマホは格好のターゲット。路上での歩きスマホや、ズボンの後ろポケットに入れていると、あっという間に盗られてしまいます。スマホの操作が終わったら、チャック付きのバッグやポケットに入れるようにしましょう。
5 盗難・紛失
ひったくり・スリと同様に被害が多いのは「盗難・紛失」。
2023年1〜11月までの間で相談件数は249件(うち盗難は67件)と、前年比の約2.5倍。旅券は海外だと身分証として利用するので、抜き取られやすい外側のポケットなどには入れずに保管管理を徹底してください。
また、電車内やイベントなどの人が多く集まる場所では、リュックやショルダーバッグは背負わずに体の前で持つように心がけましょう。
タイで旅券を紛失(盗難被害)した場合の手続き
6 置き引き
置き引きとは持ち主が置いた荷物をこっそり持ち去る行為のこと。レストランやフードコートなどで座席の背もたれに荷物をかけ食事をしていたところ、ほんのわずかな隙に荷物を持ち去られてしまうなどの被害が起きています。少しの時間だとしても、荷物は自分の見えるところに置き、財布やスマホ、パスポートなどの貴重品は肌身離さず持つようにしましょう。
タイで旅券を紛失(盗難被害)した場合の手続き
7 マッサージ店でのセクハラ行為
日本に比べて料金も安く、気軽に利用できることから人気の「タイマッサージ」。しかし、女性がマッサージを受けるにあたって気をつけなければいけないことがあります。それは男性マッサージ師による施術・マッサージ。なぜなら、男性マッサージ師によるセクハラまがいの行為や、過去には暴行事件も起きているからです。
女性がマッサージを受ける際に注意すべきこと
- 男性マッサージ師による施術は避け、女性マッサージ師を指定する
(対応してくれない場合は施術をキャンセルするなどして、危険を回避しましょう) - 個室での施術は女性マッサージ師を必ず指定する
- 利用したいマッサージ店のHPやSNSがあれば事前に口コミや評判をチェックしておく
- 女性の利用が多い、日本人の利用が多い、日本語が話せるスタッフがいる店舗を利用する
- 料金が安すぎるお店は避け、平均的な料金のお店や日系のお店を選ぶ
8 海難事故
ビーチの赤旗(注意旗)は遊泳禁止の印。悪天候で波が高い時などに掲げられる(立てられる)旗です。しかし、この注意を無視した観光客や外国人らが海に入ってしまい、死亡するという事故が相次いでいます。
せっかくタイのビーチまで行ったのに「遊泳禁止で入れないなんて!」と悲しくなる気持ちもわかりますが、危険と判断されて遊泳禁止の旗が出されているので、ビーチでの旗や警告は必ず守りましょう。
10 カジノ・ギャンブル
タイでは1935年に制定された賭博法により、政府が公認する一部のギャンブルを除き、カジノやギャンブルは禁止されています。
個人間での賭博行為、タイ国内でオンラインカジノや違法ポーカーなどのギャンブル行為も違法です。
政府公認のギャンブル
- 国営ロッタリー(宝くじ)
- 競馬
- 闘鶏
※競馬・闘鶏は政府に認められている限られた場所のみ
11 王室批判
タイでは王室関連の法律があるため、批判することはもちろん、言葉使いには注意してください。タイには国王夫妻と王位継承者への批判を禁じた「不敬罪」が設けられており、例えば王室を侮辱した場合、3年以上15年以下の禁錮に処されるおそれがあります。近年デモなどでタイ国民から王室に対する批判を聞きますが、法律がある以上は気をつけましょう。
12 反政府関連のデモ
バンコク都内では反政府デモや、講義集会も行われることがあります。不測の事態に備え、集会が行われている現場付近には近づかないようにするなど対策しましょう。
13 スラム街
クローントゥーイスラム街は、貧困層、移民や難民、流浪者など約12万人が住んでいるといわれているバンコク最大のスラム街。ゴミの投棄や火災、一部の住民が麻薬を使用しているなどと治安は良くありませんので、安易に近づかないよう注意が必要です。
14 タイ深南部(ヤラー県、パッタニー県、ナラティワート県、ソンクラー県の一部)
タイ深南部は要注意です。ヤラー県、パッタニー県、ナラティワート県とソンクラー県の一部ではイスラム武装勢力による襲撃・爆破テロが頻発しており、20年以上も非常事態宣言が解除されていません。これらの地域への渡航は、どのような目的であれ中止してください。
タイ観光警察に通報できるアプリ「Tourist Police I Lert U」
ツーリストポリス緊急対応センター(1155)と24時間連動していて、待機中の通訳者が日本語を含む多言語で観光客の支援に対応(日本語は4番)。
トラブルに遭遇した際など、観光客が写真を撮影してアプリからアップロードすることで、ツーリストポリスが現場へ急行してくれます。
※アプリの対応言語は英語・タイ語
タイでトラブルや事件に巻き込まれた時の緊急連絡先
タイ国内の主要緊急連絡先 | ||
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タイ国観光警察 ツーリストポリス | 1155 |
24時間対応 |
バンコク首都圏警察部 | 191 |
|
在タイ日本大使館 https://www.th.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html |
02-207-8500 02-696-300 |
8:30〜17:45 年末年始・土日祝日休み |
在チェンマイ日本国総領事館 https://www.chiangmai.th.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html |
052-012-501 |
8:30〜16:30 年末年始・土日祝日休み |
日本語対応可能な病院 | ||
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サミティベート病院 | 日本人相談窓口 02-022-2222 |
24時間対応可 |
バンコク病院 | 02-310-3257(日本語) |
7:00〜17:00 |
バムルンラード病院 | 02-011-3388(日本語) |
24時間対応可 |
その他 | ||
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タイ旅行中のトラブル支援サービス機関 | https://www.thailandtravel.or.jp/tat/trouble/ |