ミャンマー政変タイの動向は?

突如発生した隣国の軍事クーデターが タイ経済と社会にもたらす影響とは

今月1日のミャンマー国軍(正式名:タッマドゥ)による権力掌握宣言から20日以上が経過した。

タイ政府はいち早く「ミャンマーの『内政問題』であり、二カ国間の関係に影響はない」と発表。

またプラユット首相はタイに支援を要請するミン・アウン・フライン国軍総司令官からの書簡を受け取ったことを明かした上で、静観の姿勢を示している。

一方で「内政不干渉」を大原則とする東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国からは異例とも言える懸念の声が上がり、タイとは対応が分かれる。

以下、国内の識者らの見解を拾いながら現状をまとめる。

4つの隣接国に囲まれるタイだが、ミャンマーとの国境線は2401kmと最長である。

このうちタイ北部にある国境貿易の要所では1日午前、国境が閉鎖され貨物の往来が停止。

両国軍の交渉により4時間後には再開したが、最大5千万Bの損失が生じている。

また現在はミャンマー人運転手らが抗議デモに参加しているため国境間の物流が停滞しているものの、貿易に大きな影響はないというのが大方の見立てだ。

タイ商工会議所のカリン会頭は「国境が再び閉鎖される可能性は低く、今後も輸出への影響は薄い」としている。

一方、「情勢は1カ月で沈静化するが、西側諸国による経済制裁が行われた場合、その度合いがタイの経済的損失を左右する」と読むのは、タイ商工会議所大学国際貿易研究センター(CITS)のアット所長だ。

同所長はミャンマー経済の外国投資への依存度を指摘。

軍政下でも貿易・投資政策は変わらないとするが、ミャンマーに代わってタイが外国資本の受け皿となり投資を拡大するチャンスとの声もある。

タイはミャンマーにとってASEAN最大の貿易相手国であり、ミャンマー進出企業の事業はインフラから工業用地の開発まで多岐に渡る。

このため計画の延期や凍結、生産停止による損失がタイ国内でも連日取り沙汰されるが、工業連盟ではこうした影響の評価や試算は時期尚早だといい不安を煽る報道に警鐘を鳴らす。

ミャンマー国軍が発令した「非常事態宣言」の有効期限は1年。

長期化も危惧されるが、まずは平和的解決を望むばかりだ。

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