物流進化の核新輸送路開発

アンダマン海とタイ湾を結ぶ 「LAND BRIDGE」プロジェクトとは

アンダマン海とタイ湾を遮るように南北に長く伸びるタイ国土の南部。

そのため、タイとインド洋に面した国々の間を結ぶ物流ルートは、シンガポールの鼻先をかすめるようにしてマラッカ海峡まで迂回しなければならない。

現在、このルートを利用する船舶は年間およそ10万隻。

2050年には航行する船舶数は今の4倍となり、それ以前の2024年にはマラッカ海峡のキャパシティは限界を迎えると言われている。

そんな状況を見据えて、運輸省はアンダマン海とタイ湾を陸路を使ってショートカットさせる海上輸送開発プロジェクト「LAND BRIDGE」を進めている。

運輸省のサックサイアム大臣によると、このプロジェクトを2025年を目標に完成させるという。

アンダマン海側には南部ラノーン県にラノーン港を開発。

そことタイ湾側のチュムポーン県にあるチュムポーン港を陸路で結ぶのがその計画だ。

このおよそ120kmの間に高速道路と複線の鉄道を敷き、さらに鉄道レールに沿ってパイプライン輸送施設も建設する予定だ。

そのプランの背景には、輸送路のインフラをコンパクトにまとめることで、土地収用のコストや時間を大幅に削減する狙いがある。

同開発プロジェクトは官民連携による事業として展開され、国内外の民間企業の投資を見越したおよそ1,000億Bの予算を確保することが目標とされている。

この金額は、先に計画されていたウタパオ空港などのプロジェクトに比較して低額なこともあり、政府は国内の民間企業だけではなく海外企業からも投資を得られるのではないかと算段している。

この「LAND BRIDGE」が完成した暁には、アンダマン海とタイ湾を結ぶ物流路はマラッカ海峡を迂回する必要がなくなり、タイを経由することで輸送距離を大幅に減らせると共に輸送時間を2日間短縮できるという。

実現すれば、タイはインド洋と太平洋を結ぶ新しい海上輸送路の拠点へと昇格するだろう。

そして、雇用機会を創出することで、このエリアに暮らす人々の生活の質を向上させるに違いない。

二つの海を結ぶ陸の架け橋は物流進化の核となり、さらなる経済成長を促していくことになる。

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