行き過ぎた歓迎行事

毎年負傷者が続出する大学の激しい新入生歓迎行事
責任の所在は?本来必要なもの?全国的に注目を集めている

 

 例年、大学の入学時期になると取り沙汰されるのが、過度な新入生歓迎行事。過去には負傷者だけでなく、死亡者もいたほどの深刻な問題だ。今年はICU(集中治療室)に入院する意識不明の重傷者を出した。誰が責任を取るべきか、そもそも歓迎行事をするべきかなど、さまざまな意見が飛び交い物議を醸している。
ことの発端はタイで大学ランキングTOP10に入る名門カサセート大学のチョンブリー県キャンパスで起こった。「A(新入生)が先輩に無理矢理、貯水池で泳がされ、溺れた」とAの従姉妹がフェイスブック上に投稿。責任の所在を追及したことにより話題が広まった。
Aの父親は「自身も大学生のころに歓迎行事を行ったが、池で泳がせるなどもってのほかだ。強制されても指示に従うような子ではないが、理解できない」と複雑な心境を語った。有名大学の入学を喜んでいた最中だっただけに、大学が謝罪し、医療費を全額負担すると言えど、納得ができないのも当然の話である。
国際海運学部のギャッティクン部長は「行事で身体が汚れたAを含む数名が、洗うために自ら貯水池に入った。突然、疲れていたAが溺れ出し、学生達が協力してAを救出した」と強制的ではないことを主張している。
しかし、大学長代行のチョンラック氏は責任を認め謝罪。再び同様の事故が起きないよう、調査委員会を設置し、全力で問題解決に努めると釈明した。
先輩との親睦を図るため、当日は400名の新入生が参加したという盛大な歓迎行事。しかし、いじめや有無を言わさず指示に従わないといけない事態が頻繁に起きているという。「問題が起きた時の責任の所在を明確にすべき」、「行うことでどれだけの効果があるのか」などの必要性を問う声も出ている。
ついにはダウワポン教育相が対策に動きだし、全国の大学に歓迎行事が必要かどうかの調査を指示。行事を行うなら、具体的な取り決めを作成すると言い、全国の大学を巻き込む問題へと波及した。
現在、被害者は意識が回復し、自呼吸が可能となり、快方へ向かっているという。

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