ウェルネスツーリズムって?

「観る」旅から、「健康になる」旅へ

ライフスタイルの変容に伴い、近年、世界中で需要が高まる「ウェルネスツーリズム」。健康維持や病気予防を目的とし、自然の中でスパやフィットネスなどのレクリエーションを通して、心と体の健康に気づく新しい観光スタイルが、タイでも注目を浴びている。

世界的研究機関「Global Wellness Institute」によると、2017年のウェルネス世界市場価格は138兆バーツで、16年に比べて約13%成長。また、ウェルネスツーリズムの世界市場価格は同年21兆バーツで、16年に比べて6.5%上昇した。22年には30兆バーツまで成長するとの予想で、さらなる拡大が見込まれている。一般の観光に比べて旅行支出額は159%と高く、地域創生やインバウンドなどの経済波及効果も期待できることが試算されている。

これを受けたタイ国政府観光庁は、アイランドホッピングの拠点として人気の高い、タイ南部のクラビ県をウェルネスツーリズムのモデル県に抜擢。観光・スポーツ省観光局と同県が協力し、資源である“天然温泉”を生かした新しい観光地開発を進めている。

県内7カ所にある天然温泉の中でも、クラビタウンから車で約1時間の位置にあるクローントム温泉は、優れた泉質はもちろんのこと、手付かずの自然の中に浮かび上がるエメラルドやコバルトブルー色をした幻想的な光景が見物だ。同県では1,500万バーツ(約5,200万円)の予算を投じ、“スパシティ・クローントム”なる街づくりに着手。前述の天然温泉に加え、海と山に囲まれた自然環境での森林浴や地産地消に代表される新鮮な食材を使用した食事、タイマッサージなどで、身も心もリラックスできるホリスティックな滞在を目指すという。同県のアピチャイタイ観光局長は、「ウェルネスに敏感な欧米人を筆頭に、質の良い観光客を誘致したい」と、意気込みを語った。

地域資源に触れ、新しい発見が叶うウェルネスツーリズム。日々時間に追われる我々の、サード・プレイスとなることを期待したい。

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