タイ経済 2019

ソムキット副首相が語った、現状と課題

「今から半年間、現状を維持できたらタイ経済は追い風に乗るだろう」。7日、バンコク都内で開かれた「KrungThai Next Thailand Economic Challenges 2019」セミナーで、ソムキット副首相は今後のタイ経済について言及した。昨年は、米中貿易摩擦をはじめ、イギリスの離脱交渉による欧州連合(EU)弱体化、フランスの政治混乱、選挙により情勢不安なドイツといった関係国の“揺らぎ”に緊張を強いられた反面、タイ経済は停滞から上向きへと回復した1年だった。タイ政府としては外的要因に関わらず、昨年同様の勢いを維持したいところだろう。

もっとも、懸念は国外ではなく“国内”だ。 先日、今年の目玉行事となる2月の総選挙及び5月までに予定されていた新政府発足が、戴冠式の影響で延期になる可能性があると示唆された。国内外の投資家らは、経済変動を想定しながら「現状を見守るのが賢明」と静観の姿勢。経済に大きな影響を与える政治の先延ばしに、関係者は心中穏やかではないだろう。

そんな不安を払拭するかのように同副首相は、「新政府発足までの期間、タイ経済を全力で支える」と宣言。国の成長率を0.8%から最大4.8%(現4.2%)まで成長させてきた現政府ゆえ、説得力のある言葉だ。続けて、「タイ経済のさらなる成長のためには、『改革』『変化』というキーワードが非常に重要になる。これまで政府が推進してきたEEC(タイ東部経済回廊)計画に次ぐ、新プロジェクトの考案と共に、デジタル経済の重要性を国民に認識させることが不可欠」と見解を述べた。一方、国民にとっては現政府が指揮を執る政策の行方も気になるところ。貧困に苦しむ生産者らを救済すべく行ってきた、販売戦略に対する知識提供や商品加工の技術始動、最新技術の導入、Eコマースやオンライン販売支援など、継続を求める声は多い。

今年は、ASEAN議長国としての舵取りにも注目が集まるタイ。変化の年になることは間違いない。

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