再エネ発電で貧困撲滅へ

環境、電力問題も解決。“一石三鳥”の施策となるか

「エネルギーはすべての国における経済発展の根幹」と潘基文前国連事務総長がいう通り、エネルギー施策は国の繁栄を大きく左右する。

タイでもエネルギー施策は重要案件とされており、7月末にはエネルギー政策「Energy for All(すべての人にエネルギーを)」がぶち上げられた。

これは、地元住民らでつくる地域コミュニティが豊富な農業廃棄物を燃料とする再生可能発電事業を営めるよう推進するもの。

最終的には、低所得者でも十分に電力を使用できるよう、インフラを整備したい考えだ。

政策の実現に向け、タイ国家エネルギー政策委員会(NEPC)は9月11日、地域コミュニティによる電力プロジェクトを承認。

国営企業と民間企業が地域コミュニティと合弁で事業を展開し、太陽光発電所やバイオマス発電所などの再生可能エネルギープロジェクトを運営できるようになった。

プロジェクトには民間企業の他、タイ王国発電公社(EGAT)と地方配電公社(PEA)も投資できる。

このプロジェクトには多くのメリットが挙げられる。

代替エネルギーの開発が進めば、PM2.5などによる大気汚染が改善。

そして、長期的には電力コストが削減されれば、地方住民に安価な電力が供給されることになる。

さらに、地域コミュニティは燃料となる原材料や余剰電力を販売することで収入を生み出し、発電所の株を所有する地元住民に還元することも可能だ。

プロジェクトの資金については、当初は民間企業に100%投資させ、2〜3年目は地域コミュニティが省エネルギー促進ファンドから融資を受け、民間企業と共に30〜40%を投資するとの道筋を示す。

開発コストは、1案件につき約2〜3億バーツ、1世帯ごとの年間収入は15万9,000バーツに上る見通し。

今年末には最初の試験プロジェクトを立ち上げ、2022年までに事業を開始する方針だ。

環境や貧困、エネルギーの問題を同時に解決し得る“一石三鳥”の同政策。

さらなる経済発展の起爆剤となるか、注目が集まる。

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