東西経済回廊の今、これから

大メコン圏を繋ぐ、ASEANの“シルクロード”に期待

先の見えない世界経済の低迷が続く中、タイの未来に明るい兆しをもたらすプロジェクトが着々と進行していることをご存じだろうか。

西部ターク県を統括する地方国道事務所はこのほど、ミャンマーとの国境に接する東西経済回廊(EWEC)の要衝・同県メーソート経済特区に総予算4,500万Bを投じて建設中の主要地方道の8割が完成し、年内に開通する見込みであることを明らかにした。

言わずもがなASEAN地域における「経済回廊」とは、大メコン圏(GMS)の名のもと同圏内の経済成長に必要不可欠な物流インフラを整備し、ヒトとモノ、そして情報といった高付加価値商品の流れを円滑化するための経済協力プログラムを指す。

そしてその中核を担うのが前述のEWECをはじめ、タイを経由する3つの越境輸送道路だ。

EWECはベトナム中部ダナンの港を起点に、内陸国ラオス、区間内最長を誇るタイ各地を経て、ミャンマーのマルタバン湾までインドシナ半島4カ国を横切るルートをとり、その総延長は1450kmにも到達。

それはかつて中国と地中海世界を結び国際貿易で栄えたという通商路が如く、土地に新たな息吹を吹き込む“大動脈”として注目を集めている。

すでにタイ各地で回廊上の整備が進み、とりわけ国境地域の経済活動に大きな変化をもたらしている。

中でも2011年の民政移管に端を発し目覚ましく成長するミャンマーとの国境には、数ある同国との国境の中でも最も栄える冒頭のメーソート経済特区が位置。

5月14日現在は物資輸送車を除き通行止めだが、昨年10月にはバスや貨物車が利用できる「第2タイ・ミャンマー友好橋」が開通し、商務省外国貿易局によると同国との貿易総額は開通以前より1.59%成長しているという。

また、同地の空の玄関口・メーソート空港が国際化され、こちらも年内に滑走路の延長が完了予定。

順調に進めばこれにより従来の4倍強の利用者増が見込めるといい、物流の迅速化や地域活性化に拍車がかかることは間違いない。

今からその時が待ち遠しい。

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