就職難民を救う政府の刺激策

総額744億B投入の国民支援計画。 新卒者の雇用創出にも期待が高まる

プラユット首相を委員長とする各経済対策委員会は9月、経済再生の核となり得る3つの国民支援計画の存在を明らかにした。

まずは、9月29日の閣議で承認された生活福祉支援の拡大だ。

政府が2017年より導入した低所得者向けの給付金政策「福祉カード」には追加で210億Bの補正予算が組まれ、給付金の増額を決定。

10〜12月の3カ月の間、1人300Bの月額上限を800Bまで引き上げ、全国1400万人が恩恵を受けることができる。

また、一般消費者や事業者向けには消費刺激策 「コン・ラ・クルン」を新たに導入。

こちらは前述の福祉カードを持たない18歳以上のタイ国籍保持者が対象で、今月23日から12月31日の期間中、政府が発行するアプリ「PATUNG」で飲食や買い物などの消費をすると、最大3,000Bが還元されるというもの。

最大登録定員は1000万人。

政府はこれで地域経済の活性化を狙うが、どちらの政策もその場しのぎのバラマキ措置に過ぎず、ツケを払うのも国民だろうといった批判的な声も少なくない。

一方で、雇用対策への期待値は高い。

一時期、国内の失業率は過去11年間で最高となり、とりわけ新卒者の就職問題が喫緊の課題と言える。

タイでは一部の優良校を除き、在学中ではなく最終学期の終了後に就職活動を行うのが一般的。

即ち、例年6月以降は大卒者の求職率が高い傾向にあるのだが、コロナ禍の今年は状況がよりひっ迫しているという。

こうしたことから政府は10月から来年9月30日までの1年間、大学や専門学校などの新卒者を雇用した事業者に対し賃金の半額補助を開始。

1年で延べ26万人の新卒雇用を生むとして、意気込みをみせる。

これに先駆け9月26日から28日にバ ンコク郊外で行われた就活フェア「Job Expo Thailand 2020」には、初開催にも関わらず3日間で12万5383人が来場。

また、求人サイトと連携したオンラインでの同時開催により、14万回以上のアクセスを記録するなど大きな反響を呼んだ。

今年も残すところ2カ月ほど。

こうした政策が功を奏し、この“コロナ氷河期”を無事に乗り切れるよう切に願うばかりだ。

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