北海道寿し居酒屋えぞや 店主
末武和幸さん
「EZOYA (THAILAND) Co., Ltd.」代表。1980年、北海道函館市生まれ。高校卒業後、地元や横浜のバーなどで経験を積んだ後、24歳の時に株式会社APRグループに入社。2018年、同社の海外事業部統括マネージャーに抜擢されタイのバンコクに赴任。EZOYAの店主として、店舗移転やコロナ禍など幾多の難関を乗り越えて現在に至る。趣味は音楽鑑賞。

開店前の飲食店には、独特の緊張感がある。カウンターの内側では料理人が黙々と仕込みに向き合い、ホールではスタッフが無駄のない動きで準備を進める。そこにはこの店が積み重ねてきた姿勢が表れる。
そんな開店前の「北海道寿し居酒屋えぞや」で、店主の末武和幸さんに話を聞いた。

末武さんは北海道函館市出身。
高校卒業後、地元のライブスナックでバーテンダーとして働きながら音楽に親しむ日々を送り、接客と空間づくりの面白さを体で覚えた。

その後上京し、バーなどで経験を重ねたのち、札幌へ戻って本格的に調理の道へ進む。24歳の時、えぞや(タイランド)の親会社であるARPグループに入社した。
同社ではカフェバーやデザイナーズダイニングなど多様な業態を経験。

トマムの星野リゾート内に開業した店舗ではバリスタとしても腕を磨き、新業態の立ち上げメンバーとして運営ノウハウを学んだ。
この時期に培ったのは、料理の技術だけではなく、空間全体で価値を提供するという考え方だった。

そして2018年、末武さんが38歳の時に転機が訪れる。
すでにバンコクへと進出していたAPRグループの新たな現地責任者として、「北海道寿し居酒屋えぞや」「NIKKA BAR&RESTAURANT余市」の運営を任されることになったのだ。

もちろん、本人にとっては人生初の海外勤務である。

「それまでの自分の選択肢に、日本を出るなんてあり得ませんでした。でも、ここで踏み出さなければ後悔すると思った」

この決断が、現在へと続く大きな舵切りとなった。
しかし、タイで待っていた現実は決して平坦ではなかった。

トンローで営業していた店舗に、突然の立ち退き勧告が入る。まさに寝耳に水の出来事だった。
物件探しに奔走し、苦労の末にスクンビット30へ移転。新たな体制が整ったのは2020年のことである。

だが安堵したのも束の間、今度はコロナ禍が襲った。営業制限が続き、自身も感染するなど、何度も心が折れそうになった。
それでも状況が落ち着くと客足は戻り、店には再び笑顔があふれるようになる。

「お酒と料理を囲んで、お客様が楽しそうに過ごす。その時間を提供できることが、この仕事の原点です」

困難を乗り越えるたびに、その思いはより強くなっていった。

そして2026年。
えぞやと末武さんは、再び大きな転機に直面する。
スクンビット30の店舗にも、再度の立ち退き要請が入ったのだ。

「またか、という絶望感でした」

苦労して築いた場所を取り上げられる現実が信じられず、捨て鉢になりかけもした。
しかし、それでも悩んだ末に選んだのは、やはり挑戦する道だった。

新天地はスクンビット20。ここでは「えぞや」と「余市」に加え、新たに小料理屋やタイ料理店もオープンする。

商圏が変われば客層も変わる。これまでの常連客を大切にしながら、新しい顧客との関係を築いていくことも大切だ。

「環境の変化には不安もありますが、それ以上に可能性を感じています」

末武さんが見据えるのは、単なる移転ではない。
そのテーマは、業態とターゲットの枠を拡げることによる新しいシナジーの創造だ。

「えぞやをきっかけに、このエリアがさらに賑わっていければうれしいですね」

振り返れば、突然の海外勤務、唐突な立ち退き、パンデミック、そして再びの移転。
何度も岐路に立たされ、そのたびに心は疲弊した。

それでも末武さんは、環境の変化を受け入れ、次なる一歩を踏み出してきた。
その理由は実にシンプル。

「人が好きなんです。だから、新しい出会いがある場所に立ち続けたい」

スクンビット20での新しいスタートは、当然、すべてが未知である。
これまでの変化も決して望んだものばかりではなかった。

しかし、その先には必ず新しい出会いがあり、大きな可能性が待っていたという実感がある。

「店は、人との出会いで育っていくものだと思っています」

移転先でも、きっとまた新しい物語が生まれるだろう。
多くの常連客が心地よく集える場所でありながら、初めての人にとっても再び訪れたくなるような安らぎの空間でありたい…。

そうした日々の積み重ねが、この店をこの街に根付かせるのだと、末武さんは確信している。
挑戦は続く。

環境の変化を前向きな力に変えるその姿こそ、いつでもときめきを忘れない末武さんの魅力にほかならない。
でも、実はそんなこと、周囲のあらゆる人たちが、すでに確信しているのだけど。

東北6県の県人会合同イベントとして2022年に初開催された「超芋煮会」。えぞやで行われ、毎年多くの人が訪れる話題のイベント

北海道寿し居酒屋えぞや

北海道「すすきの」を拠点にさまざまな飲食業態を展開するAPRグループが、タイでの第2のブランドとして、2016年、開業。以来、北海道直送の鮮魚をはじめ、日本各地から集めた豊富な食材をリーズナブルに提供している。2026年には、系列店である「ニッカ・バー余市」と共にスクンビット20へ店舗を移転。さらに業態を拡充させて、北海道の魅力的な食文化をタイで広めていく。
詳細情報
名前 北海道 寿し居酒屋 えぞや
Hokkaido Sushi Izakaya Ezoya
電話番号
営業時間 月〜金 15:00〜23:00
土日 11:00〜23:00
定休日 年中無休
WEBサイト
店舗情報
  • 駐車場20台以上可
  • 個室最大60名収容可
  • メニュー価格は税込&サービス料なし
  • お酒のボトル持ち込み無料
  • 子どもはドリンクとアイスが無料

年会費300BのCLUB EZOYA
  • 会計の3%をポイント還元。1ポイントは1バーツ分で利用可
  • 会員限定特別価格メニュー有り
  • 誕生月の来店で、焼酎ボトル1本か寿司ケーキが無料
所在地
現在ソフトオープン中。7月23日・24日グランドオープン予定。

スクンビット・ソイ20 えぞや 本館

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