タイ政局、ついに第2ステージへ

タイ政局、ついに第2ステージへ

首相の進退が問われるタイ政局、アピシット民主党党首も動き出す……

タイの長引く政治混乱のなか、インラック首相失職の可能性が濃厚になってきた。首相が直面している問題は二つ。
一つはコメ担保融資制度に関わる職務怠慢の問題。この調査を進めている国家汚職追放委員会(NACC)がインラック首相の不正行為を認めれば、その時点で職務停止となる。

二つ目は高官人事をめぐる憲法違反の問題。3年前に首相の親族を国家警察長官に起用し、国家安全保障評議会事務局長を更迭したことは、憲法が禁じる首相の不当な人事介入であると訴えられている。これを憲法裁が違憲と判断すれば、即時失職となる可能性が高い。インラック首相の弁明期限は5月2日。5月中には判決が下ると見込まれ、インラック首相と内閣の運命が決まる。

では、インラック首相が退いた後はどうなるのか? ステープ元副首相率いる反政府派は、選挙前の制度改革以外は認めないと強固な構えを取っており、憲法7条(いずれかの場合に本憲法に適用すべき規定がない時においては、国王を元首とする民主主義制度の統治慣習に従って判断する)に基づき、暫定首相・内閣の名簿をプミポン国王に提出し承認を求めるという。

一方、政府側は、チャイカム法相がインラック首相が失職した場合、憲法7条を発動すべきだと発言した。今後7条をめぐる駆け引きが繰り広げられるとも予想されるが、国王が実際に政治の場へ出てくるとは想像しがたい。

また、選挙管理委員会は22日、再選挙の日程について「7月20日」「8月17日」「9月14日」の3候補を提案している。

と、そこへ、これまで沈黙を守ってきたアピシット民主党党首が新たな案を打ち出した。「現状のままでは総選挙実施も反政府デモも解決には至らない」と、政府、反政府、軍首脳らと協議し、平和的な手段で解決策を探るという。同じ政党であったステープ元副首相とも違う立場をとったうえ、双方の橋渡し役を買って出たのだ。彼の思惑はまだ明らかではないが、キーマンになる可能性は大いにあるだろう。政局の第二幕が切って落とされた。

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