爆薬に地雷…。自宅がまるで「武器庫」
チョンブリー県サタヒッブで5月8日に起きた一台の乗用車の横転事故。
雨天による不運な自損事故と思われたこの一件が、犯罪組織関係と思われる「武器庫」を暴く衝撃の展開へと発展した。
当初、警察が事故車両から発見したのは1丁の拳銃と弾薬だったが、その後のパタヤの自宅捜索で状況は一変。
室内からはM16やM4といった自動小銃に加え、C4爆薬、手榴弾、対人地雷、さらには防弾チョッキやガスマスクなど、およそ個人所有とは思えぬ軍用レベルの重武装が次々と押収されたのだ。
逮捕された31歳の中国籍の男は、2020年からタイへ頻繁に出入国を繰り返しており、偽造の疑いがあるタイの国民IDカードやカンボジア関連の書類も所持していた。
男は取り調べに対し「武器収集は単なる趣味で、最後は自分自身に使う(自殺する)つもりだった」と供述を繰り返している。
しかし、彼のスマートフォンからはカンボジアを拠点とする中国系特殊詐欺組織との通信記録や、カンボジアBHQ(国家ボディーガード本部)との軍事訓練を受ける自身の映像が発見されており、警察は特殊詐欺組織間の抗争に備えた武装拠点だった可能性が高いとみて捜査を続けている。
一歩間違えれば大惨事を招きかねない「動く武器庫」の正体は、特殊詐欺という現代の犯罪が、今や軍用レベルの暴力と隣り合わせであることを如実に物語っている。
現在はストレスによる体調悪化を理由に病院へ搬送されている男だが、警察は背後にいるタイ人協力者や、軍関係者を含む武器の調達ルートの全容解明を急いでいる。
交通事故という偶然がなければ、静かな住宅街でこれほどの殺傷能力が牙を研いでいた事実に、誰も気づかなかっただろう。その「見えない脅威」こそが、何よりも冷ややかな恐怖を禁じ得ない。




