重機での整地中に神殿を発見
タイ東北部ナコーンラーチャシーマー県。
私有地で進められていた宅地開発の現場から、悠久の眠りを破る歴史的な発見が舞い込んだ。
整地作業中に地表から突如として顔を出したのは、精巧な装飾が施された砂岩の石材。
専門家による初期調査の結果、約800年~1000年前、仏暦16〜18世紀頃に建立された、クメール様式の宗教施設であることが判明したのだ。
実はこの土地、1996年頃から地下に遺構が眠っている可能性がが指摘されていたが、私有地という壁にも阻まれ、長年本格的な調査の手が及ぶことはなかった。
しかし今年4月下旬、重機での整地中、姿を現したその構造物は、ヒンドゥー教の影響を受けたクメール様式の(コーム様式とも呼ばれる)宗教施設の一部だと判明。
近隣には当時の生活水源「バライ(人工池)」の跡も確認されており、同県のピマーイ遺跡やパノムワン遺跡などと並び、かつての地域コミュニティの中心として栄えたのではないかと推察されている。
この大発見を受け、当初の宅地開発計画は一転、白紙撤回される見通しとなった。
一部の出土品は国立博物館へと移送され、現在は政府による土地の買収や保護区域指定に向けた、複雑な利害調整が進んでいる。
土地所有者にとっては開発中止に伴う補償問題という頭の痛い現実も残るが、歴史の奔流を掘り当てた功績はあまりに大きい。
「マイホーム用の土地の真下に、千年前の神殿が眠っていた」
そんな事実は、現代を生きる私たちに不思議な高揚感を与えてくれる。




