揺らぐボルボの“安全神話”
新鋭EV連続炎上の衝撃

©Fire & Rescue Thailand

相次ぐボルボの炎上事故

「安全性」を最大の価値としてきたスウェーデンの名門ボルボが、タイで深刻な信頼危機に直面している。同社のコンパクトEV「EX30」が、短期間に立て続けに炎上するという異常事態が発生したためだ。

2025年にブラジルで起きた駐車中の出火を皮切りに世界各地で発生し、タイでも今年3月25日、さらに5月15日にも同様の事故が発生。いずれも新しい車両だったことから、「構造的な欠陥ではないか」という不信感に包まれている。

最も疑われているのは高電圧バッテリー系統の短絡(ショート)や熱暴走だが、現時点でボルボ側は最終原因を正式断定しておらず、技術調査を継続中としている。
公式声明では、「顧客安全を最優先に対応している」と説明し、一部車両に対する追加点検も開始し補償協議も進めているという。

しかし実際の利用者心理への打撃は大きく、「ボルボだから安全だと信じて買ったのに裏切られた」「仮にバッテリー交換しても怖くて乗れない」といった声が相次いだ。
中には、「コンドミニアム管理側から敷地内駐車を遠回しに断られた」という投稿まで現れ、EV利用者全体へ不安が波及している。

さらに追い打ちをかけるように、その後タイM81高速道路ではボルボのSUV「XC60」の炎上事故も発生。
ボルボ側は「EX30とは異なりバッテリー起因ではない」と説明したものの、一般利用者から見れば「またボルボが燃えた」という印象が先行し、ブランドイメージ悪化は避けられなかった。

世界中で絶大な信頼を築いてきたボルボにとって、アイデンティティとも言える「安全」の分野で起きたこの連続炎上劇は、ブランドの牙城を揺るがす致命的な大打撃だ。車の電動化という未知の荒波の中で、かつての神話をどう守り抜くのか、同社は今、これまでにない最大の試練を迎えている。

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