9歳児が凶器で教師を追い回す事件が発生
6月12日、タイ東北部サコンナコーン県の小学校で白昼堂々、戦慄の光景が繰り広げられた。小学3年生の男子児童(9歳)が、鋭利な鉈(なた)を振りかざして女性担任教師を校庭で追い回したのだ。
事の発端は教室内での些細な友人との口論。教師に注意され激昂した児童は、一時帰宅した後に自宅から鉈を持ち出して学校へ引き返し、自分を叱った教師へ刃を向けたのである。
必死に逃げ惑う教師と、恐怖のあまり悲鳴を上げる児童たち。一歩間違えれば大惨事となる緊迫の暴走劇は、現場にいた用務員の決死の説得により児童がようやく鉈を手放したことで、辛うじて死傷者を出さずに幕を閉じた。
事件後、熱心な指導で知られた教師は深い精神的ショックを受け、故郷への異動を余儀なくされた。保護者や地域住民の間にも大きな不安が広がる中、当局の捜査が進むにつれ、この9歳の「加害者」が置かれていたあまりにも過酷な現実が浮き彫りとなった。
男子児童の両親は別居しており、家庭環境は事実上の育児放棄状態。高齢の祖母と暮らし、適切な養育や見守りは望めず、感情をコントロールするために精神科に通院。
事件当日は処方された薬を適切に服用していなかった可能性が指摘されている。
刃物を手に教師を追った少年は、明確な加害者であると同時に、社会のセーフティーネットからこぼれ落ちた「救いを待っていた被害者」でもあったのだ。
学校の安全管理のみならず、家庭の崩壊やタイ社会が抱える根深い問題を今回の悲劇は重く突きつけている。




