配車アプリ、乗客への暴行で炎上
バンコク都心のアソーク交差点付近で5月28日、配車アプリ「Bolt」を利用した日本人男性がドライバーから暴行を受け負傷する事件が発生し、事件はタイ国内で大きな注目を集めた。
被害者によると、当日は自宅から勤務先へ向かうためBoltを利用していた。交差点付近の渋滞に差しかかった際、ドライバーの男(23歳)が「この料金では渋滞に見合わない」「ここまでしか行けない」などと主張し、目的地到着前の降車を要求。
男性は説得を試みてもドライバーは応じず、止むを得ず車を降りると、ドライバーも車外へ出て殴打や肘打ちなどの暴行を加えたとされる。
現場付近のバイクタクシー運転手や通行人が制止に入り、ドライバーはそのまま逃走した。被害者は頭部を負傷し、その後現地警察署へ被害届を提出したという。
事件がSNSで拡散され、スパマート首相府相は消費者保護委員会(OCPB)に緊急対応を指示し、同社へ事実関係の説明と再発防止策の提出を求めるなど、プラットフォーム側の責任を本格的に追及する構えを見せている。
エストニア発のBoltは、低価格を武器に2020年からタイ国内で急拡大した一方、管理体制を巡る懸念が以前から指摘されていた。
今年4月には、正規ドライバーの父親のアカウントを悪用した男から女子中学生が性的被害に遭いかけ、学生が走行中のバイクから飛び降りて負傷する事件も発生。
陸運局のデータでも2022年から全9社の配車プラットフォーム関連の違反約6000件のうち2193件をBoltが占めており、今回の事件以前にも改善が見られない場合は事業認証の更新を認めない可能性すら示唆されている。
今回の事態を受け、同社はドライバーのアカウント停止や、顔認証・AIによる本人確認強化などの安全対策を発表した。
しかし、利便性と引き換えに蔓延する不正利用や登録審査の甘さは、配車業界全体の構造的な課題だ。
激化する市場の価格競争の歪みと、置き去りにされた安全対策の在り方に、今回の事件は改めて強い警鐘を鳴らしている。




