Go! グリーン化大作戦

緑が紡ぐ豊かな街へ。タイ政府が動き出す

新型コロナウイルスの感染拡大防止に国を挙げて徹する現在。

収束以降の健康的な生活を目指し、タイ政府が静かに始動した政策をご存知だろうか。

それが、人々の健康と自然環境の保全を両立させた街づくりプロジェクト「Go Green Living」だ。

特に近年取り沙汰され、年々深刻化する「微小粒子状物質(PM2.5)」により、国民はアレルギー疾患や呼吸器疾患といった健康被害を受け続けている。

世界保健機関(WHO)による2019年の調査結果では、PM2.5を含めた大気汚染の影響で年間700万人が死亡。

タイでも5万人が亡くなっているという事実を、政府は看過できない。

今年2月3日、プラユット首相はPM2.5濃度がバンコク都内で急上昇した状況を受け「国民の健康が第一だ」と宣言。

旧式エンジンを搭載する自動車やトラックなどに対する規制を強化し、焼き畑農業の禁止やバイオディーゼル燃料の開発といった長期的な解決策を進めていくよう関係機関に命じていた。

それを引き継ぐ形となったのが同プロジェクト。

まず第一に定着化を目指すのは、コンドミニアムやアパートといった住宅の共有スペースの植物の割合(緑被率)を現在の法令によって定められている25%から35%へ増やすこと。

この他、省エネを図るための電球使用や再生エネルギーの利用を推進していくという。

また今月15日には、国民の意見を反映するためのWEBサイトを開設。

ニシット同局長は、「大気汚染の解決はもちろん、国民の皆さんが過ごしやすい、持続可能な環境を造ることが私たちのミッションです」と強調した。

一方で、タマサート大学経済学部のトーン教授は「大気汚染が今後も続けば、経済格差が浮き彫りになるだろう。

健康被害から身を守るためのマスクは毎日必要なため、資金的な体力がないと到底購入できない。

低所得者にとって、大気汚染から自らを守ることは困難」と持論を展開している。

国民全体の暮らしと安全を守るためには、根元から変えていくしかない。

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