太陽光と水力両輪での発電

巨大ダム湖に浮かぶ世界最大級の 水上太陽光発電施設が運転開始へ

再生可能エネルギー。

それは温室効果ガスを排出しないことはもとより、国内生産が可能なことからエネルギー安全保障にも寄与することで、各国が力を注いでいる。

タイは東南アジア諸国連合の中でも、いち早く再生可能エネルギーへの投資を進めてきた国の一つ。

経済成長に伴う旺盛な電力需要は化石燃料によって支えらてきたが、深刻な大気汚染などを背景に、環境負荷が少ない再生可能エネルギーへの転換が急がれている。

そんな中、東北部ウボンラーチャターニーのシリントンダムで建設中の水上太陽光発電施設(Hydro-Floating Solar Hybrid Project)が完成間近となり、この6月に運転開始を控えている。

このプロジェクトの核となるタイ発電公社(EGAT)が組んだ総予算は8 億4,200万B。

出力45MWに及ぶシステムは、世界最大級の水上太陽光発電施設になる。

ダム湖に浮かぶ太陽電池パネルの表面積は450ライ(720,000㎡)二重ガラスを採用したパネルは高湿度に耐え、水や汚染物質の内部侵入を防ぐ。

また、湖面に浮かぶためのフロート架台には魚網などにも使われる高密度ポリエチレンを採用して、水生動物や環境への配慮を大切にしている。

そして同発電施設の最大の特徴と言えるのが、1960年代から稼働している同ダムの水力発電との組み合わせによるハイブリッド化。

タイの強烈な太陽と豊かな水量をたたえるダム湖。

その両方をマネージメントすることで、気候や天候に頼るという弱点を解決しながら、継続的に発電し続けることができる。

このシステムが実現することによって地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量を年間約47,000t削減。

これは約37,600ライの森林が有する浄化機能に相当するとされる。

2021年、タイはクリーンエネルギーへの投資をさらに促進させ、太陽光発電やバイオマス発電などに力を注ぎ、再生可能エネルギー利用を約3割増やすことを目標に掲げている。

天然ガスを使った火力発電に大きく依存するタイが、水上太陽光発電施設の完成をきっかけにして大きく舵を切ることに期待したい。

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