タイに広がる自殺問題。首吊り、拳銃自殺、一家心中…

家族に毒を飲ませ、首吊りを強要。
妻の借金を背負った夫が子どもを絞殺し、自らも首吊り。タイに広がる暗部に迫る

さまざまなメディアで自殺に関連のニュースが、ほぼ毎日伝えられ、大きな関心事となっている。
2014年9月10日、「世界自殺防止の日」に保健省が発表した年間の自殺者は3,900人。40〜44歳の男性が多いとされ、最低年齢は10歳で、最高齢は105歳。自殺の方法は「首吊り」が66.92%と最も多く、次に「殺虫剤を飲む」、「拳銃自殺」と続く。

2015年7月1日付けの地元紙タイラットは、今年起きた痛ましい一家心中3件の記事を掲載した。

①2014年12月31日、バンコク都トンブリー地区で、64歳の男がストレスにより、息子(14)、娘(16)、妹(61)、母親(89)に毒を飲ませてから、首吊りを強要。発見された遺体は毒によって、唇と爪が黒くなっていたという。娘の遺書も見つかり、内容は実母を恨む言葉が綴られていた。

②6月8日、バンクンノン警察は拳銃で撃たれた家族4人の遺体を発見。いずれも頭部に発砲された跡があり、父親の胸には銃痕があった。現場には争った形跡はなく、父親が拳銃で家族を殺した後に自ら命を絶ったとみられる。父親は3年間、仕事もせず、借金があり、家も差し押さえられることが決まっていたため、一家心中を図ったとされる。

③6月15日、借金をした妻に対するストレスから夫が3人の子どもを絞殺し、自らも首を吊って自殺。調べによると、事件前日にヤミ金から金を借りた妻とけんかをし、妻は家出。夫に借金を返すアテはなく、一家心中に至ったとみられている。

精神衛生副局のパンピモン局次長によれば「心中するのは、ほとんどが父親によるパターン。もし、自分が死ねば、残された家族も路頭に迷う。その後、子どもや親が苦しむのであれば、一緒に死んだほうがいいと考えて、一家心中に至る」と説明しているが、巻き込まれた子どもや両親のことを考えると、いたたまれない。

年間3万人が自殺を図る日本に比べれば、まだまだその数字は高くないが、近代化が進めば、自ずと悩みも増え、精神を病む人間が増えるのはもはや避けられない。
手遅れになる前に、対応が必要となるだろう。

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