13歳の少年ボクサーの死をきっかけに論争勃発。 子どもの試合禁止に待ったをかける貧困問題とは
国技ムエタイが今、リングの外で注目を集めている。
きかっけは今月10日、サムットプラカーン県での試合に出場した13歳の少年が、脳出血により死亡したことにある。
少年は頭を守るヘッドギアを装着していなかった。
亡くなったのは、同県出身のアヌチャー君。
彼は両親の離婚後に叔父に引き取られ、貧困家庭に育った。
生活費を稼ぐため8歳からムエタイを始め、170試合に出場していたという。
現在、15歳未満の選手は約10万人おり、わずか3歳の幼児もリングに上がるという。
彼らのほとんどが、アヌチャー君と同様の貧困家庭の出身。
1試合50〜600Bほどのファイトマネーを得るため、膝蹴り・肘打ち・顔面攻撃ありの過酷な格闘技に身を投じているのだ。
今回の事故を受けて14日、観光スポーツ相は「12歳未満の出場禁止および15歳未満には保護者の許可を課す改正案を提出する」と発表し、注目を集めた。
一方、これに反対するのが競技団体側だ。
ムエタイからボクシング競技に転じ、タイ人初のオリンピック銀メダリストとなったカーオポン氏もその一人。
「農村の子どもたちにとって、ムエタイは貧困から脱出する手段の一つ。
そのチャンスを奪わないでほしい」と語る。
また、同じくメダリストのソムジット氏は「選手の育成には幼少期からの練習が必須。
子どもの試合を禁止したら、この国のムエタイは終わる。
年齢制限より安全対策に目を向けるべきだ」と見解を述べている。