©Thailand Biennale
人は誰しも名誉ある「称号」が授与されたら、簡単には手放したくないもの。そんな中、とある有名芸術家が「私は称号を返上する!」と表明し、話題を集めている。
タイの国民芸術家であるチャルムチャイ・コーシピパット氏は、北部チェンライ県出身の芸術家。代表作は同県屈指の観光スポットである「ワット・ロンクン(別名:ホワイトテンプル)」。タイ国内外での活躍はもちろん、自身が手掛けた作品が評価され、2011年にタイ芸術局が承認する「国民芸術家」を授与されたという。
また、同氏は業界の新興にも非常に協力的で、弟子や若手アーティストにも優しく、“ユニークなタイのおやじ”キャラが多くの人に支持されるなど、国内外にファンが多い人物だ。
そんなチャルムチャイ氏が突然、「国民芸術家の称号を返上し、国民芸術家登録からの抹消」の旨を書簡で表明し、国民芸術家を辞任する意向が明らかになった。
辞任の理由については、「今後は芸術活動を行っていく予定はない。国民芸術家が芸術活動をしなければ(この称号に)ふさわしくない」と述べ、「自分が元気なうちに余生を楽しみたい」と思ったからだそうだ。
さらに、「私はもともと口が悪く、このまま芸術局のもとにいたら、自分の言葉で暴言が吐けなくてイライラしてしまう」などとチャルムチャイ節が炸裂。今の自身が置かれている堅苦しい立場に苦言を呈したのだった。
今のところ芸術局からの正式な声明などは発表されていないが、前代未聞の“辞任騒動”に戸惑っているに違いない。
どんな結末が待っていようとも、彼の功績は消えることなく今後も語り継がれていくだろう。