「熱心な素人は玄人に優る」。これは、住友商事の田路舜哉元社長が残した言葉で、寅次郎店主の中村さんが自身のブログでも取り上げている。ブログは2008年頃から書き溜めたもので、そこにはバンコクの変遷と一緒に中村さんのその時々の想いが綴られているのだ。冒頭の言葉はまさに寅次郎の黎明期に当てはまるもので、飲食業には縁がなかった中村さんが酒場を始めた際に、きっと大きな力となったに違いない。

そんな寅次郎には時々足を運んで、お酒や料理とともに美味しい時間を過ごしている。ここは居酒屋というよりも“酒場”と呼ぶ方がしっくりくるような気がする。いったいどう違うんだ?と聞かれると説明に少し困るが、酒場はどちらかというと陽気なイメージで、寅次郎に付く冠は「情熱酒場」である。だから、誰かさんと誰かさんが連れ立って気軽に寄れて、お酒を片手につまみを食べ、一緒に夢や愚痴を語れる陽気な雰囲気の“場”なのではないだろうか。もっと勝手なことを言えば、お酒が主役の店が居酒屋やバー。お客が主役の店が酒場ということになるのかもしれない。

寅次郎を訪れたことがあるなら気がついた人も多いと思うが、店内のあちらこちらに貼られた短冊のメニュー。そのひとつ一つには、中村さんの呟きのようなものが書かれている。その多くは一品を説明しているのではなく、ちょっと大げさに言えば一品に対する思い入れ、あるいは思い込みのようなことが書かれているのだ。それらを読んで「なるほど」とか「お上手!」とか「ほんとに?」とか「だよなぁ」なんていう風に心が反応したら、これはもう思うツボ。これは何も店主の策略にはまったと言っているわけではなく、この酒場が醸し出している雰囲気に同期し始めたサインのようなもの。店主はこれを書いて、お客の心のどこかを“ぽんっ”と一押しできたらいい、くらいに考えているのだと思う。つまり、これが中村さんの優しさなのである。

「情熱を持って取り組めば、最後発の商社であっても必ず他社に追いつくことができる」。やはり田路舜哉氏の言葉だが、中村さんはこの言葉もブログに引用している。ただ、寅次郎は決して最後発ではなく今年で創業25年。希望と熱い心を忘れずに、バンコクで四半世紀の歴史を紡いできた。2024年、そんな情熱の酒場の新しい年が始まる。

大将のバンコクがらくた人生

店舗情報
店名 情熱酒場 寅次郎 スクンビット39店
ジャンル
エリア
その他情報
【BTS】プロンポン
電話番号
営業時間 16:30〜24:00(L.O.23:00)
定休日 なし
駐車場 あり
VAT 7%
サービス料 10%
クレジットカード VISA , MASTER , JCB
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所在地

1 Soi Promsri 1, Sukhumvit 39 Rd.


※掲載記事は取材時点の情報を元に作成しております。施設(またはお店・企業・物件等)の都合や現地事情により、実際の情報と記事内容が異なる場合がございます。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

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